多くのことを望みすぎてしまったから。
天は私に罰を与えたのだ。


地位

名誉

強さ

自由

友情

そして…



愛情








全てを手に入れたあとは、

全てが一瞬にして消え去る













を掻く指先









崩れるときはあっけなく、そして一瞬だ。
気付かないうちに全てがなくなる。
私の場合、一番大切なもの2つが、一瞬にしてなくなった。



愛情と友情



全てが一瞬で、私の手から零れ落ちてしまった。
手の届く場所にとどまってくれているならよかった。

消えてしまった。

全部。
形も残らなかった。
さよならさえ、言えなかった。
私の最愛の人と大切な友人は全員、私の前から消えてしまった。

あっけないものだった。







あれから私は、何も考えられなくなった。
話すことができなくなった。
食べることができなくなった。
飲むこともできなくなった。

それは、私から気力というものを奪ってしまった。

ふと、空を見上げてみた。
何も考えられなくても、視界には常に何かが映っていた。
それは広く、大きく、青い空だった。

偉大だった。
私はその偉大な空に手を伸ばした。
何も掴めるわけないのに。
手を伸ばしたからといって、真子が戻ってくるわけじゃないのに。

ふと、頬に何かが伝った。
それが涙だということにようやく気付いたときには、
視界が歪んでいた。








「もう一度触れたいのに…触れられない…!
 どれだけ、伸ばしても、触れられない!!







大声で泣いた。
その声は、どこまでも広い空に、いつまでも響いていた。

















そう彼が私を呼ぶ声が聞こえた気がした










2012/08/25