そして私は、引き金を引いた。









11108










それが現実だった。
私の人差し指の力だけで、誰かの人生が変わってしまう。











11109










最近は心臓に一発、入れることにした。
昔は、相手をいたぶってから…というのも少なくなかった。
そんなことはできなくなった。

可哀想…という感情のせいではない。
ただ、こんな自分に嫌気が差して。
反省というか、嫌悪感に陥る時間を早く済ませたくなっただけ。










11110









今日はとあるファミリーのボスの心臓を狙う。
何故って?
それは仕事だから。
私はマフィア間の抗争なんて興味がないし、どこのどいつがNo.1でも関係ない。
お金を支払ってくれる相手がいるなら、その人の頼みを聞くだけ。

これで何人目だろうか。
そして引き金を引いた。










11110









目を疑った。
撃ち抜いたと思った。
撃ち抜いたはずだった。

それでも彼は動いて、私を見据えていた。
距離はおよそ数百メートル先。
スコープの中の彼は、私に向かって指をさし、口を開いた。









、動くなよ










数分後、彼は私の前にいた。
私の両脇には彼の部下がいて、私に銃口を向けていた。









「さ、言い残したことは?」
「別に。」
はぁ〜。なんでそんなツンツンしてんだ?」
「関係ないでしょ」
「今までに何人殺した?」
「さぁ?いちいち覚えてない」
「…ロマーリオ」








彼に呼ばれた部下がサッと紙をポケットから出し、読み上げた。









「11109人。ボスで11110人目だな
「ひぇ〜。セーフ」
「…さっさと殺すなら殺しなさいよ、キャバッローネのディーノ
「んじゃ、お言葉に甘えて」
「…」








彼はロマーリオと呼んだ部下から銃を貰うと私に向けた。








ズガンっ








それは耳を突き抜け、空へ消えた。








「…え…」
「これからよろしくな。
 俺が一生、お前を守ってやるよ」









最後の標的は私自身だった。













11111-ファイブワン-











そして私は、生まれ変わった。












2015/03/08