真夜中、私はインターネットを開いていた。
部屋の電気は全部消えていて、パソコンから発する明かりだけが私を照らしていた。
私が調べていることはズバリ、、、


胸をおっきくする方法


だった。
別に今の大きさに不満があるわけではない。
だってDカップだし、客観的に見ても恐らくスタイルのいい方には入るはずだ。
でも、あと少し。

あと少しだけ、おっきくてぷにぷにしてほしいっていうのが私の理想。







「はぁ〜。悩みが尽きないわぁ〜」
「…おい、
ぅわぁっ!?
「何してんだよ、真っ暗な部屋で」








私はバタンッと勢いよくパソコンを閉じた。
繊細なノートパソコンが壊れるのではないかと心配したが、それよりも
ドアのところに立っているディーノのほうが気になっていた。

私、独り言なんて言ってなかったよね…?





ディーノが来る数分前、私はあるブログの記事を熱心に読んでいた。
それこそが最も実現可能な胸を大きくする方法だった。
でもあんなこと頼むなんて恥ずかしくて絶対にできるわけがない。

私は頭を大きく横に振った。
それを見ていたディーノが不審そうに私に近付いてきた。







「おい、どうしたんだよ」
べ、別に…!
「なんか調べ物か?」
「え?あ、ぁ…そうそう!ちょっとエステにも行こうかなって」
「は?いつもの場所でいーだろ」
「いやー。ちょっと飽きちゃった…って、勝手にパソコン開けないでよ!」
「へ?これ、オレのだし」
「ちょ、ちょっと待って!!!」








ディーノがパソコンを開けようとするのを阻止するために、私はパソコンの上に腕を置いた。
そんな私を見てムスっと顔をしかめるディーノ。
私は苦笑いをして彼を見つめた。








「ま、いいじゃん。ほら、もう寝ないと明日も仕事でしょ!」
「いや、オレ何時に起きてもいいし。お前こそ仕事じゃねーのか?」
わ、私!?私、明日何もない」








少し声が上ずってしまった。
それを聞いたディーノはより不審に思ったのか、私の腕の下からパソコンをひったくってしまった。
「わー!!」と大声を出すも、ディーノのほうが行動が早く、記事を見たディーノは目を大きく見開いた。
私は恥ずかしさ半分、後悔半分の溜息を付いた。










「お前、こんなこと調べてたの?」
「もーうっさいなぁ///」
「いーじゃん。今の大きさで」
なっ!?他人事だと思って!」
「だってオレしか見ねぇし」
「いや。もう、あんたには何も言わないから。」
「おい、









私は呆れて先にベッドに入った。
別にディーノのために胸を大きくしたいわけではない。
服を綺麗に着こなしたり、水着をかっこよく来たりするためだ。
そんなことを全然分かっていないディーノなんて、放っておいたほうがいい。

私がベッドに入って数分後、ディーノがもそもそと入ってくる気配がした。
すると後ろからギュッと抱きしめられた。








「なぁ、…」
「もう。なによ、寝苦しい」
「悪かったって。」
「ディーノ別に何もしてないから。謝らないで」
「オレで良かったら協力するし」
「…は?」
胸って揉まれるとデカくなるらしーぜ








そう言ってスルッとさりげなくディーノの手が肌に触れるのを感じた。
ディーノの手が予想以上に冷たかったからか、「ひゃっ」という声が出る。
それに無言で揉むのではなく、耳元で囁きながら揉むからタチが悪い。








「…後ろから揉まれるのが一番効果出るんだってよ」
「ッ…」
「な、?」







絶対に今、私の顔は真っ赤だし、口に当てている手を放すと変な声が出る。
そんなのディーノに聞かれたくない。
私は意地でも声を出さないようにと口に手を当てていた。

数分後、ディーノが私の首元にキスをした。
それを感じた瞬間、私はディーノの手を掴んだ。








「…ディーノ…」
「あぁ。悪い悪い。つい、癖で」
「あんたねぇ、手付きがエロいのよ!
「はぁ?人が善意で…」
「善意って…別に下着の上からでもいいでしょ!」
「いや。やっぱ直接のほうが…」







そんな言い訳を言うディーノの口を私はキスをして塞いだ。








「ほんと、ディーノに頼むとロクなことない」
「おい、…でも気持ちよかっただろ?」
「…」
「オレが顔見てないとでも思った?」
なっ!?///
「さて。続きでもやりますか」
「はぁ!?」
「お前だけズルいし」
「ズルいってなに…」








※    ※    ※








しばらくして私は新しい下着を買いに行きつけの下着屋さんを訪れていた。








「まぁ!様、おサイズが一つ大きくなってますよ」
「え、うそ!?
「本当です。ほら」







メジャーのメモリを見て私は満面の笑みを浮かべた。
店員さんが持ってくるワンサイズ上の可愛いブラジャーをルンルン気分で選ぶ。







「彼氏さんに協力してもらったんですかー?」
「え、あぁ…まぁ。」
「まぁ!羨ましいです!!」
「あんまり使えなかったけどね」
「男性って結局はソッチのほうにしか考えがいきませんからねぇ」
「そうなのよぉ!!」








買い物を終え、紙袋を持って路上に出る。
外には赤いフェラーリが止まっていて、それに凭れてディーノが待っていた。








「お待たせ〜」
「おぅ。ってかさ、
「ん?」
「オレの話、してた?」
「えっ?なんで?」
「いやー、クシャミばっか出てさ。風邪かな?」
「風邪じゃない?昨日、お腹出して寝てたよ」
「はぁ!?布団かけてくれよ!」
「まぁまぁ。それよりさ、おっきくなってたよ!」
「…何が?」
「何がって!!胸よ、胸!!おっぱい!
なっ!///そんなデカイ声で言うなよ!///」








顔を真っ赤にするディーノに紙袋を押し付けて私は助手席に乗り込んだ。
急いで運転席に座り込むディーノはまだ顔が真っ赤だった。







ゴホンッ!まぁ、オレのおかげだよな」
「ディーノとかエロいことしか考えてなかったじゃん」
「べ、別にそんなことは…」
「これからもキープできるように頑張らなくちゃ!」
オレがな
違う!









デンジャラス

 ビューティー!








美しくなるためには努力は惜しまないわッ!














2014/02/18