「ねぇ、スクアーロ!次、ここ行こ!」
「ダメだ!!」
「お願い〜!」
う…///








目の前で上目遣いをしてくるコイツ。
名は
俺の同級生で、クソボスさんの義妹らしい。
何故俺が、こいつの相手をしないとならんのだぁ!!??







※ ※ ※ ※






遡ること数時間前、俺はいつもと同じように、ソファに座り本を読んでたんだぁ。








ドンッ!!







「ねぇ、お願いよぉ。お・に・い・ちゃん!
「う”…/// おい、カスザメェ
「!」
「こいつの願い、聞いてやれ!」
「あ、スク!久しぶり!」
…はぁ!?








ドアを勢いよく開けて、勢いよく話して、勢いよく奥の部屋へ去っていくザンザス。
スクアーロは、口をあんぐり開けながらニコニコしているを見た。

学生でも少しの間しか同じ学校には通っていなかった。
スクアーロ自身、すぐに行かなくなってしまったし、も風の噂ではすぐに退学したらしかった。
その後、は一流のスパイになって帰ってきた。
ザンザスとの蟠(わだかま)りも、時間をかけて修復されてきたようだ。

その結果、ザンザスはに頭が上がらなくなったらしかった。









「(クソボスめ…に惚れてじゃねーよぉぉお!!)」
「ねぇ、スク?」
ぅおっ!?いつの間に!」
「ねぇ、私、パリに行きたいの」
…は?
パ・リ!あのね、クレープが食べたいの」
「…そこの通りにあるだろーがぁ」
「パリのクレープ屋さんじゃなきゃ、ヤなの」








はその店の詳細が載ったガイドブックをスクアーロの目の前に掲げた。
近い近いっ!」とスクアーロはガイドブックをの方に押し戻した。








「お前のお供に連れてってもらえよ!」
「お供…?あぁ、ガナッシュのこと?なんか忙しいみたいなの。
 だからザンザスに頼んだんだけど…ザンザス、恥ずかしいみたいで。」
「はぁ!?」
「だから、ね?お願いー!!
「う”///…そんな目で見るなぁ!」
Per favore!!Squalo!!









イタリア語で、しかもものすごく猫なで声で話す
普通だったら媚びる女を嫌うスクアーロもに逆らえない。
なんせ…








「(なんでこんな…可愛いんだぁ…!!)」









彼もまた、彼女に惚れているからである。

そして現在、とスクアーロはパリのシャンゼリゼ通りを歩いていた。
自家用ジェットで約1時間。
イタリア北部からパリはこれほどまでに近い。
冬が近いパリでは全員がコートを着込んでいた。
二人も同じで、コートにストール姿であった。








「ふふっ!クレープ楽しみー!」
「はぁ…なんで俺がぁ…」
「私とお出かけ、嫌だった?」
「そいうわけじゃ…」
「あ、着いた!」
「(聞いてねぇ…)」








カランカラン








扉を開けると可愛い鈴が鳴る。
「Bonjour.」と綺麗なフランス人店員が笑顔で声をかけてくる。
もスクアーロもフランス語を流暢に話すことができた。








「ね、これ!」
「ん…好きなの頼めぇ」
「ラッキー!じゃあね、これとこれとこれと…」
う”お”ぉぉい、
「んー?」
「そんなに頼んで、食べれるのか…?」
ダイジョブ☆
「(無理だな…これは…)」








溜息を付きながら、先に頼んでいたコーヒーを口に含むスクアーロ。
頼み終わったのか、もコーヒーカップの手を伸ばす。
はニコニコしながらスクアーロを見つめていた。









「な、なんだぁ?///」
「いやー、スクで良かったと思って」
「…は?」
「ザンザスにお願いしたとき、一番最初に目に入ったのがスクだったからスクになったじゃない?
 あれがもしベルだったら…って思って」
「…ベルだったら、どうしてたんだ?」
「うーん。行かなかったかな。









その言葉に目を見開くスクアーロ。
問いただしたかったが、タイミングよく注文した品がやってきた。
ガレット3枚にクレープ3枚…計6皿がテーブルの上に所狭しと並べられた。








「こ、こんなに…」
「いっただっきまーす!」







美味しそうに食べるを見ながらコーヒーを飲むのも悪くない、
スクアーロはそう思いながら、自分自身もガレットを食べる。

案の定、食べきれなかった分は全てスクアーロの腹の中に収まった。







※ ※ ※ ※







も”う”…食えね”ぇ…
「ごめんねー、スク」
「お前、わかってたろ!」
「うーん…でも一口ずつ食べたかったの!」
「…じゃあそれ許す替りに、俺の願いを聞け
「…へ?」







店の外でニヤッと笑うスクアーロには苦笑いした。







「ど、どんな…願い?」
キスしろ
…は?
「俺にキスしろ。でなきゃ、一ヶ月俺のパシリをしろ」
「ちゃ、ちゃんと頼んでよ!でなきゃやらない!」
はぁ!?









は頬を膨らませながら言った。
スクアーロは人に「お願いします」など言ったことがないことくらい知っていた。
だから、スクアーロはに頼むことはできない。
そう思ってたのに…









Per favore、
「…ぇ…」
「聞こえねぇのか?Per favo…









はスクアーロの巻いていたストールを引っ張り、彼の唇にキスをした。








Si, スクアーロ!










Per favore!!










「言っとくけど!」

「私、スク以外にキス頼まれてしないからね!」





スクだけよ!

と彼女は念を押すと、シャンゼリゼ通りを軽やかに歩いて行った。









2013/10/23