タルボじいさん!!










La Traviata  77










「チェッカーフェイスよ
 次期アルコバレーノを誕生指せる前にこいつを試してもらえないかのう?」
「それは何かな?」
「おしゃぶりの代わりとなる器じゃよ。
 こいつを使えば永遠におしゃぶりは必要なくなるはずじゃ」

「どうやって?」
「ふむ」









大空の7属性の炎は加速されてある速度を超えるとエネルギーを増幅させる特質をもっているのじゃ。
そこで器の中に第8の属性である「夜の炎」をループ状に配置し、7属性の炎を連続したワープホールを
通過させることによって加速させ続ければ半永久的に7属性の炎を補給しなくて済む










「なるほど…ちょうどバミューダが最後に放った技のように第8属性の炎を利用するのだな」
「そうじゃ。ただし問題もある。まず種火となる炎自体が巨大であることじゃ。
 そして加速に必要な第8属性の炎は誰かが灯し続けなければならないということじゃ」
「面白いが、必要となるのが第8属性の炎だとはな…」










バミューダはその役目を快諾した。
私はタルボじいさんの話を聞きながら、首にかかったジョットの時計を握り締めた。








「ならばやっとくれ タルボとやら。
 バミューダもありがとう」
「えっ」
「そ、そんなに簡単に?」
「私はこの星の命を守りたい一心で、多くの犠牲を防ぐために小さな犠牲はやむを得ない、
 という信念を曲げずにこの恥ずかしいお面も被ってよく頑張ってきた。
 だがトゥリニセッテを維持するよりベターな方法があればとっとと採用して次の世代に託すことを、
 常に考えていたんだよ。
 それにリディアとの約束だしな…









チェッカーフェイスは私の顔を見て微笑んだ。
すると、タルボが思い出したかのように口を開いた。










「おぉ、そうじゃじゃそうじゃ。もう一つ忘れておった。…」
「え?」
お前さんのその時計とお前さん自身が必要だった









そこにいた全員が目を見開き、私を見た。








「わ、私?」
「第8属性の炎は、ワープホールの役目だけ。軸がない…回るためには軸がいる
「…私が、軸になる…」
「そうじゃ…ジョットの時計は、トゥリニセッテの柱じゃ。最後まで見守ることで、トゥリニセッテは…」
「トゥリニセッテは…保たれる…私、やります
さん!!










ツナは叫び、私の肩を掴んだ。











さん!ダメですよ、柱になったら…!!
「そうね、もうここには戻ってこれない」
ディーノさんだって…!!」 「でも、これが私の運命なのよ」








私はニッコリ微笑んで、ツナの手を退けた。









「200年前からこうなることは分かってたような気がするのよ。
 やっと私の生まれた意味が理解できた…
 ねぇ、ツナ。ディーノに言っといてくれる?ありがとうって…」
「自分で…」
「え?」
自分で言ってくださいよ!!さんを助けるって…オレ…オレ、約束したんです!!
「…うん」
「だから、さんは助ける…!!タルボじいさん!
「む?」
時計にさんの炎を…灯すことが出来れば、人柱は必要なくなるんじゃないんですか?
「む、まぁそうじゃが…」
「やりましょう、さん」
「ツナ…」










ツナの顔が、何故かジョットと重なった。
私は、バミューダの隣に立ち、時計を握った。










「無人のおしゃぶりを成功させるには最初の火種の大きさが勝負じゃ。
 全員がありったけの炎を注がねば成功せんからな!!」




「これがうまくいったら!!オレ達の呪いは解けるんだろうな!!」
「約束しよう」

「ツナ…もし成功しなかったらディーノに…」
言いませんよ!!
「え…」
「自分で言ってください!!必ず…必ず成功させます!!!










私は、一心の願いを込めて、ありったけの炎を時計に注入した。









2016/05/08