目を開けると、白い天井が見えた。












La Traviata  72






…!大丈夫か?」
「ディ…ノ…」
「あぁ!俺だ!」
「…私…」









ディーノに話を聞いた。
二日目の代理戦争で、スカルチームが復讐者に時計を奪われたようだった。










…バミューダ…ヴェッケンシュタイン…
「知ってるのか?」
「私に…時計を渡した…透明のおしゃぶりを持った赤ん坊…」
「え?」
「ディーノ…私…また…」
…?」
「また、皆に迷惑かけてしまう…」









時計を握りしめ、涙が頬に伝った。
それを優しく拭ってくれるディーノに、余計涙が出るのだった。








ガラガラ…







病室のドアが開いた。
そこにはユニが立っていた。









「お前は…アルコバレーノの…」
「キャバッローネのディーノさん…私は今、お姉さまにお話があります」
「え?」
「席を、外していただけませんか?」
「え、あ、あぁ…悪い」









少し気に食わない顔をしつつもディーノは病室から出て行った。
私は涙をぬぐうと、身体を起こした。










「ユニ…」
お姉さま…何を知ったんですか?」
「…え?」
「チェッカーフェイスのイメージをすると、心がえぐられるように痛いんです…
 お姉さまの精神がチェッカーフェイスに連れ去られたことは予知したんですが、内容までは…」
「そう…私はまた、皆に迷惑を掛けてしまう…」
「へ?」
「私はやっぱり…」
「お姉さま!」
「え?」
変なことを考えてはいけません!!








ユニは私に駆け寄ると、ガッと私を手を掴んで、その大きな瞳を潤ませて言った。








「命あるものは全て、意味があってここにいるのです!
 誰ひとりとして…無意味な人はいません!!
 だから…だから…」
「ユニ…」
「命を絶つようなことは…絶対にしないで…!!















夜中の12時。
辺り一体に大きな炎を感じた。
病室のベッドから飛び起きた私は、パジャマから着替え、病室から抜け出そうとした。
そのとき…







「お久しぶり……」
…バミューダ…!!
「君には、チェッカーフェイス側に立って欲しくないのでね」
「…っ!」
「イェーガー君。彼女を傷つけないように、気を付けてくれたまえ」










私の叫び声は、闇に消えた。

















2015/05/05