ホテルに帰ると、最上階のスーパースイートに通された。
La Traviata 65
最上階全てが同じ部屋となるペントハウス。
それでも私は嫌な顔を隠せなかった。
「…同じ階…?」
「ったりめーだろぉがぁ!」
「ヤダ」
「はぁぁあ!?」
「レヴィと同じ階とか吐き気する!」
「あ”!?」
「まぁ、それは分からなくもない…が、そんな我儘は無理だぜぇ」
「えー!!!!」
ポイッと買い物した紙袋を一番端の部屋に放り込まれる。
一つの階が同じ部屋だといっても、小さい部屋がいくつもあり、
全てに水回りが完備されていた。
「お前の部屋はココだぁ」
「…ディーノのとこ行く」
「おい、待てぇ!」
ドアノブに手を掛けると、そのままドアとスクに挟まれてしまった。
抵抗できない私は、そのままスクを睨み返した。
「跳ね馬とは敵同士だぁ。分かってんのかぁ?」
「勿論。でも寝るところまで同じだって契約じゃないでしょ?」
「ッ!」
「ホテルの外にディーノの部下がいたから、ディーノも多分ここに泊まるはず。
大丈夫、階が違うだけで同じ建物にはいるから」
「あ、おい!!」
「それとも何?
同じチームだからって私を独占できると思った?」
「…はぁ!?///」
「バーカ。そんなの無理に決まってんじゃん。
私は・よ」
スクにウインクしてパッとドアを開けた。
ドアに体重をかけていたからか、スクはそのまま廊下に頭からこけていった。
「あはは!スク、残念!
まぁ、ご飯くらい一緒に食べてもいいけど、どーする?」
「う”お”ぉぉい…」
「叫んでもダーメ」
勝ち誇った顔で荷物を持ち、廊下を出口に向かって歩いていくと、ドアの前にザンザスが立っていた。
「…どこへ行く?」
「どこって…自分の部屋?」
「お前の部屋はあっちだろう」
「だってレヴィと一緒の階とか嫌よ」
「いつ何が始まるか分からねぇのに、敵と一緒に寝るのか…?」
「うっ…(バレてる…)」
「行ってもいいぞ」
「ホント!?」
「…」
笑顔で礼を言うと、そのままドアのノブに手をかけた。
その瞬間、後ろからザンザスの声がした。
「…戦いが始まれば、跳ね馬を殺すんだな」
「!」
「行くということはそういうことだぞ」
「…」
「なんだ、行かねぇのか?」
私はそのままドアを閉めるとザンザスを睨んで叫んだ。
「意地悪!!」
「…元々だ」
「そんなんだから彼女できないんだよ」
ザンザスの眉間に皺が寄り、青筋が立ったような気がしたが、無視して自分の部屋に入った。
バタンっと勢い良くドアが閉まる。
それを聞いてザンザスはチッと舌打ちした。
「ボスさんよぉ、が今…」
「…レヴィの部屋をと真逆の端にしろ」
「…」
※ ※ ※
翌朝、寝ぼけ眼でキッチンのカウンター前に座った。
キッチンではルッスが朝ごはんを作っていた。
「あら〜!、おはよう☆」
「うんー」
「まだ眠いの?」
「ちょっとね…ちょっと…」
「はい、エスプレッソ。ルッス特製ダイブルショットよ〜」
「ありがとー」
半分目を閉じながらカップに口を付けた。
すると隣に誰かが腰掛けた。
薄ら目を開けると、ストレートの銀髪が見えた。
「あ、スクだ。おはよー」
「おぉ。ルッス、俺にもエスプレッソだぁ」
「はいはぁーい」
「さ、コーヒー飲んだし、今日は何しよっかな」
椅子から立ち上がりめいっぱい伸びをした。
それを見たのか、スクは「ブッ」とコーヒーを吹きこぼしていた。
「おまっ!下を履けぇぇええ!!!///」
「ん?あ…」
私はいつもの癖で下着姿にディーノのお下がりのYシャツを羽織っただけだった。
勿論伸びをするとパンツが見えるわけで。
スクの顔を見ると真っ赤だった。
そんなスクを見て悪戯心が芽生えた私はニヤッと笑って言った。
「もっと…見る?」
「はぁああぁあ!!??///」
「ウソに決まってんじゃん。馬鹿だなぁー。じゃね」
「ッ!!」
私が部屋に入ったのを確認すると、ルッスは気まずそうにスクに話しかけた。
「…のこと、まだ好きなの?」
「バッ!んなわけねぇだろぉ!!///」
「そうよねぇー。あんなカッコ見ちゃったら男なら誰でも叫んじゃうわよねぇ」
「…」
「っていいカラダしてるしね。ってちょっと、スク!!」
「ふんっ!」
「まぁー!怒っちゃった」
フライパン片手に独り言を言っているルッスの前に朝からハイテンションなベルがやってきた。
「ルッス、俺にも朝メシちょーだいw」
「はーい!ちょっと待ってねぇー」
「…ってかさ、クソ隊長さん、なんで朝から機嫌悪いの?」
「それがね…」
朝からネタが出来たヴァリアーであった。
2014/03/24