ボンゴレはドンドン大きくなっていった。








La Traviata  61







市民を守る大義の下、貴族、無法者、政治家、時には警察、
全ての腐敗した者を正していった。

その頃、私は久しぶりに街に出ていた。
ボンゴレが守る街は以前とは違い、活気に溢れていた。
大通りを歩いていると、ふと寂れた時計屋を見つけた。
そこでジョットの知り合いだといった時計屋の店主。
ボンゴレファミリー創設記念に作ったというボンゴレの紋章の入った懐中時計。
それを私は、店主から受け取ると、ジョットにプレゼントした。







「ありがとう。大事にするよ」
「うん!」







そんなある日、私は懐かしい人物からの手紙を受け取った。






「まぁ!エレナからだわ!
…エレナ?
「えぇ!小さい頃、よく一緒に遊んでいたの。
 アレジャーニ公爵の一人娘でね、私と年も近いのよ。」
「へぇ…何かの誘いか?」
「えっとね…うん。
 今度パーティをするんですって。
 ジョットも一緒にどうぞって。
 そう言えば…今度ジョットを紹介するって言ってたんだった」
「あはは!忘れてたのか?」
「う…最近忙しかったから…」
「そういうことなら、行こうじゃないか」
「うん!」










パーティ当日、私たちはアレジャーニ公爵屋敷に来ていた。
入口で出迎えてくれたエレナは昔のままだった。








!」
「エレナ!久しぶりね!」
「本当…何年ぶりかしら…
 貴女が結婚したこともしらなかったわ」
「ごめんなさい…あ、紹介するわね。
 私の夫の、ジョットよ」
「どうも」
「まぁ、紳士な方ね。相手は大変でしょう?」
「ははは…毎日飽きませんよ」
「ふふ!いい人ね。
 ところで、ボンゴレファミリーの噂はかねがね…
 私からも寄付したいのだけれど…いいかしら?」








エレナはボンゴレの働きかけにとても共感していた。
パーティでもその話を熱心に聞いていたから。

パーティも終盤に差し掛かり、私とジョットは少し涼むためにバルコニーに出た。








「エレナ、いい子でしょう?」
「あぁ…お前より頭が良さそうだ」
なっ!
 わ、私だってちゃんと勉強してますー!」
「あはは!お前は今のままでいいんだよ」







ジョットは私の頬に軽くキスをした。
赤い顔を隠そうと、部屋の方を向くと、向こうからエレナが誰かを連れてやってくるのが見えた。








「エレナ?」
…今日はこの人を紹介したくて」
「…もしかして…婚約者?」
「ふふ!」
まぁ!水臭い!早く教えてくれればいいのに!」
「デイモン・スペードと申します」
「私はです。
 こちらは夫で…」
「ボンゴレファミリーのジョットだ」







ジョットとデイモンは何やら込み入った話があるようで、部屋の中へと消えて言った。
私たちはそのままバルコニーで待つことにした。








「ねぇ、結婚、するの?」
「え?」
「だって彼、とっても貴女を愛してるみたいだった」
「どうかな…お父様が許してくれるかしら…」
「アレジャーニ公爵、厳しい方だものね」
「…」
「貴女なら大丈夫よ、エレナ」








そんな話をしていると中からジョットに名前を呼ばれた。






「!」
「帰ろうか」
「あ、はい」







※    ※    ※







数日後、ボンゴレの城にデイモン・スペードとエレナがやってきた。








「あら?エレナ…いらっしゃい」

「どうぞ、入って。今、ジョットを呼ぶわね」







こうして、デイモン・スペードは正式にボンゴレファミリーに入った。
丁度その日、日本から朝利雨月もやってきていた。
私はふと、いい案が浮かんだ。








「ねぇ、ジョット。みんなを庭に集めてくれないかしら?」
「みんなって?」
「Gとかランポウとか…ちょうど雨月さんもイタリアにいるわけだし、みんなで写真、撮りましょう」
「あぁ…そうだな」







快くその案を了承してくれたジョット。
庭に4つの椅子を置き、真ん中に私とジョットが座った。







「どうして僕が…」
「アラウディ…お願いよ、一枚だけ。ね?」
「…」
「オレもヤダなぁー」
ランポウ!この前、ボール蹴って花瓶割ったの、ジョットに言いつけても…いいの?
わわ!姫、それ反則だよ」







そう言って撮った一枚を私は部屋に飾った。







「ねぇ、ジョット…これ、凄くいい写真ね」
「あぁ…」
「これで守護者も揃ったね」
「そうだな…これで、安心だ」







ジョットは私を後ろから抱きしめてくれた。
彼の香水が鼻を掠めた。





















2014/02/27