カラカラ

バーの入口に付けられた鈴が鳴った。












La Traviata  60








中では笑い声が絶えないようだったが、私を見た瞬間、笑い声が止んだ。

?」

そんな声と共にジョットが私の元に駆けて来た。
ずっと走っていた私は、疲れてジョットの元に倒れ込んだ。








「逃げて…」
「え?」
「お父様が…お父様が…!
?落ち着け…」
「ジョットが自警団のボスだってバレたの…!」
なっ…
「明日、人を引き連れて殺しにくるわ。だから早く…」
「ジェラルドが…動き出すか」
「…ジョット?」
「大丈夫。俺たちは準備をしてた
「え?」
は隠れていろ。
 自警団の時代は終わりだ。」
…お、わり…?
「これからはボンゴレファミリーと名付ける








翌朝、私はバーの地下室で目が覚めた。
周りには誰もいなかった。
昨夜、ジョットにはここから出るなと強く言われていた。
終わったら迎えに来ると、言われていた。

でも待てなかった。
周囲の状況が、どうなっているのか把握したかった。
私はソっと地下室のドアを開け、一階のバーに行った。
昨日と何も変わらない店内。
違うのは人がいなく、ひっそりとしていること。
カウンターに座り、花瓶に差した花を見ていると、カラカラとドアの鈴が鳴った。
振り返ると、そこには銃を持った父、ジェラルド・がいた。









…何故ここに?」
「あ…」
「そうだ。お前も仲間だったな…
 私の邪魔をするものは全員敵だ。」
お、お父様…
「あの世で似た者同士、リディアと仲良くな」








ズガン









目をつぶった瞬間、銃声が聞こえた。
ゆっくり目を開けると、私の目の前の床に穴が開いていた。
私はびっくりして、腰を抜かしてしまった。
父の後ろには誰かが立っていて、父の腕を掴み銃の軌道を変えたようだった。









ジェラルド・お前は多くの人間を苦しめた。その罪は重い…」
貴様は…!
「その上、自分を娘を殺そうとするなんて…」
!!早く私を助けろ!!
「ッ…!」
…」
「…ジョット?」
「お前の好きにすればいいさ」
「お父様…私は貴方を許せない。








ジョットはそのまま、ジェラルド・の腹に一発食らわせた。
床にうずくまって咽る父を、私は見ていた。








…!!お前は…破門だ!!家の人間じゃないぞ!」
「えぇ…私も、あの屋敷に戻るつもりはありません。
 さようなら、お父様…いいえ、ジェラルド・








連行されるジェラルド・
私の横にはジョットが立っていた。
額にはオレンジの炎を宿していた。







「ねぇ、ジョット?それ、火?」
「あぁ…死ぬ気の炎だ」
「死ぬ気…?」







死ぬ気の炎と言われた炎に私は恐る恐る触れて見た。
熱くなく、優しい温もりがあった。
それを感じて、私はジョットに笑顔を見せた。









「貴方みたいね、その炎」
「え?」
あったかいもの
「そうか…なぁ、?」
「んー?」
「俺、お前の太陽みたいな笑顔が好きだ」
「え?」
「これからずっと、俺の隣で笑っててくれないか?」
「…勿論」








ジョットは私にキスをした。








※    ※    ※








翌年、私たちは結婚した。
街の小さな教会で式を挙げた。









「いやー、やっぱりジョットには叶わなかったよ」
「なんだコザァート。お前もを狙ってたのか?」
「そりゃぁ、は美人だし。
 優しいし、みんなを幸せにする。隣にいてほしいと思うよ」
「残念だったな」
「まぁな。
 僕も早くお嫁さん見つけて自由に生きたいなぁ」
「はは!お前はもう自由じゃないか」
「そうかな」

コザァート!!
「わ、








私はドレス姿でコザァートに抱きついた。
それをしっかり受け止めてくれるコザァート。
ジョットは少しムスっとした顔をしたが、何も言わなかった。







「来てくれたのね」
「あぁ…式が終わったらすぐに発つよ」
「…発つって…どこへ?」
「僕の生まれ故郷さ。故郷も、この街みたいに…再生したいんだ」
「…そう。寂しく、なるわね」
「手紙を出すよ。
 君も、ジョットと幸せにね」
「うん」








コザァートは私の手を取り、ジョットの元へ連れて行った。







「ジョットはきっと、有名になる。
 それを支えるのは君だよ、
「コザァート…」
「シモンファミリーも、ボンゴレファミリーを支える立場になれるよう、努力するよ」


















2014/02/27