厳かな空気の中、継承式は始まった。












La Traviata  55










9代目の守護者と10代目の守護者が顔を合わせる。
そこへ、“罪”と呼ばれる小瓶が入った箱がやってきた。
私は生唾を飲んでその瞬間を待った。









受け継いでもらうよ、10世(デーチモ)








その瞬間、キィィィンという音とともに爆風が会場に巻き起こった。








きゃぁっ!!
姫!!








私と9代目、ツナの周りに9代目の守護者たちが作り出したシールドが張られる。
しかし、その爆風が収まったときには私の腕から血が滴り落ちていた。








姫!!
「私は、大丈夫…それより9代目…」
、無事か?」
「はい。ちょっと破片が…刺さっただけ、ですから…」









破壊された罪の小瓶。
しかしそれは偽物で、本物は別室に7属性の炎を混ぜ合わせたシールドで守られてあるということだった。
それを聞いた私はホッと胸をなで下ろした。









「た…大変です!!金庫が…破られています!!
なに!?
そんな!!
「!!」
「ありえん!!7属性の炎のシールドはどうした!?
破られたようです!!









そこに本物の“罪”を持って現れたのはなんと、シモンファミリーだった。








「エンマ…君…?」








ツナの呆然とした声が私の耳にも届いた。
シモンが罪を手に入れるために行ったということは、山本をやったのもシモンファミリーということになる。







「どうして…」
「力を取り戻して…ボンゴレに、復讐するために」
「なんで…なんでだ!!山本を…何故あんなことを!!!
「山本がシモンリングを見たからだ」
「シモン…リング?」
「聞いたことがない」
「知らぬのも無理はない。
 シモンリングは遥か古より血中に眠っていたシモンファミリー門外不出の至宝であり、
 先日の自身で出土するまで誰の目にも触れてこなかったのだからな」
「(地震!!)」
「我々シモンファミリーは先祖の言い伝えにより初代ボスのシモン=コザァートの眠る土地を守ってきた。
 先日の地震でその土地が隆起し、地中よりシモン=コザァートの遺品が出土したのだ」








私はハッとした。
未来で全てを思い出した私は、ジョットとコザァートの仲も思い出していた。
だから、ボンゴレの罪が初代シモンの血だと聞いたときには驚きを隠せなかったし、
ボンゴレ一世が過去の真実を闇に葬り去ったという事実も信じられなかった。








違う…!違うわ!!ジョットはそんな人じゃない!!







我慢できずに声を荒げた私を、シモンファミリーは睨みつけた。








「知ったような口を利くな!!」
「知ってるわ!!全部知ってる!ジョットはそんな人じゃなかったッ!
「…何故そう言い切れる?」
「私は…だから







青葉紅葉が口をつぐんだ。
私の名を聞いたことがあるようだった。
すると鈴木アーデルハイトが続くように答えた。









…初代ボンゴレの妻。
 初代シモンとも仲が良かったと歴史書には記されている。
 同じ名前なだけだろう」
「いいえ!私は…!」
「例えそうではなかったとしても、彼女もまた、ボンゴレ一世と共にシモンを裏切った!許しはしない!
そんな…!



「シモンファミリーはここに宣言する。
 古里炎真が10代目シモンファミリーのボスを継承し、ボンゴレへの復讐を果たすことを誓う」








私はショックのあまり、声が出なくなった。


ダメ…
ジョットとコザァーとの友情に亀裂が走ってしまう…





しかし、シモンファミリーは誰の静止も聞かず、ツナたち守護者を攻撃した。
そして最悪なことに、ボンゴレリングを破壊し、クロームをさらって消えていった。

























2014/02/09