プルルルと携帯が鳴った。











La Traviata  52









私の上に寝ているディーノの腕が乗っている。
シーツをかき分け、鳴っている携帯を取った。








「もしもし…?」
『よぉ、姫。久しぶりだな』
「ガ…ナッシュ!!わっ!?







驚いた拍子にベッドから滑り落ちてしまった。
ドスンという音で寝ていたディーノを起こしてしまった。









『なんだ。キャバッローネのガキの所にいたのか。
 お遊びも大概にしろよなー』
「うっさいなぁ!ディーノ、まだ寝てて!
「いや、もう起きたし。誰だよ、電話」
ガナッシュ!
「あー」








下着姿の私は、シーツに包まり、ガナッシュに用件を尋ねた。








「で、なんの用?」
『9代目がお呼びだ。』
…それだけ!?
『あぁー。そうだぞ』
「じゃあメールでいいじゃん!!」
俺の可愛い姫が男とイチャコラしてるのを邪魔s…








ブチッと勢いよく電話を切った。
立ち上がり伸びをする。
時計はまだ朝の7時だった。









「んー!さ、帰ろ」
「おい、先に服着ろよ」
「着る着るー。ちょっと帰るね」
「どこに?」
「城。9代目に呼び出し食らっちゃったぁ
「送るか?」
「いい。車、近くに置いてるんだ」
「そか。」
「じゃあね」








お別れのキスをしてもらおうと目をつむって数秒。
全く目の前に来ない気配に、私は怒って目を開けた。
その瞬間、チュッと音を立ててキスをされた。







「ちょっと、ディ…ん!?
「はは!じゃあな」
も〜!!
う”っ…







ほんとコイツは…

急所を力いっぱい蹴って部屋を出てやった。












※   ※   ※










数カ月ぶりのボンゴレ城。
玄関先で車を降りると、使用人が出迎えてくれた。







様、お帰りなさいませ」
「うん」

「よぉ、姫」
ガナッシュ!








久々の再会に私はガナッシュに抱きついた。
彼もまんざらではない様子で私の頭を撫でてくれた。








「昔はよぉ、毎日こうして抱きついてきてくれたのになぁー
 お前の身体はいつの間にかキャバッローネのガキのもんだもんなぁー!」
「うっさいな、ガナッシュ!」
「おぉ、怖ぇ怖ぇ。9代目は書斎だ」
「はいはーい」
「“はい”は一回だろー!」
はいはーい!!
「ったく…」









私は階段を駆け上がり、下から叫ぶガナッシュに手を振った。









「あれが一世の嫁さんねぇ…ま、時代が違うか









コンコン








9代目の書斎のドアをノックした。
中からは優しい、聞きなれた声が聞こえた。







「さぁ、お入り」
「9代目!」
もう“パパ”とは呼んでくれないのかの?
う”っ…覚えてるんですか…」
「そりゃ、が初めて私のことを“パパ”と…」
「まぁまぁ!ところで、なんか用ですか?」
「…未来でのことじゃ」

「一世に会ったそうじゃな」
「夢ですか?ディーノも見たって言ってました」
「そうかそうか…」









私を見る9代目とは何故か気まずくて、私は天井高くまである本棚のほうに進んでいった。








「9代目?
 別に今までと変わりませんよ。
 私はですけど、この時代に生きるなんですから」
「…」
「私は9代目に育てられたです。それ以外の何者でもないです。
 これからはいっぱい親孝行しますよ!!
 一緒に旅行も行きたいし、ご飯も!あ!ザンザスも呼びましょうね!」
「そうだな…」









9代目は私をギュッと抱きしめてくれた。
懐かしい、優しい香りに私はソっと目を閉じた。








「やっと自分が何なのか…分かりました」
「…」
これからは自分に自信を持って、生きれます…






















2014/02/09