白蘭とツナの死闘の末、結界は崩れた。









La Traviata  50







「あわわ…死ぬかと思った…」








砂埃の中から私はおしゃぶりを抱えてみんなのいるところまで逃げた。








「「!!」」
…ディーノ!ザンザス!







ディーノとザンザスは同時にの名前を叫んだことが嫌だったのか、
すごい目つきで睨み合いをしていた。







「おしゃぶりは…」
「大丈夫。もう少し…」







ディーノが抱きしめてくれていると、ズガンっとザンザスが桔梗の頭を吹き飛ばしていた。








ザンザス!
っるせぇ!!
ダメよ!!
「…ふん!」
「はーい大丈夫よぉ〜〜
 命は私がつなぐわ〜〜」








すると私が抱えていたおしゃぶりが光りだした。
アルコバレーノの復活だ。
私はそれをみて、ようやく安堵の溜息を付いた。
ユニの魂が、アルコバレーノに届いたのだ。







「彼女は命懸けで…永遠の平和を作ろうとしたのです」
「ユニのやつ…“平和な過去”へ帰れるって言ってたもんな」
「ユニ…
 じゃあもうマーレリングは封印できるんだね!
 あ、でも…時計が…」
「あ…」







ツナの一言で、全員が私を見た。
私は周りを見渡すと、みんなが不安な表情で私を見つめているのに気付いた。







「あ、あの…私は…」






その瞬間、時計が光りだし、パカッと蓋が空いた。
今まで正確に時を刻んでいた針が、ものすごいスピードが逆回りをしていく。
何百回回った分からないが、カチッと針が12時のところで止まった。
すると、先ほどのように結界があわられ、私を覆った。














私が前を見ると、そこにはジョットがいた。








「はひっ!ツナさんにそっくりな男の人です!」
「ほんとだぁ」
「あれがツナのご先祖様だな」
はひっ!?
「時計にも、ボンゴレリングと同じ力があったんだ…」







外でそんな話がされているのは、全く私の耳には入って来ていなかった。
つぅっと頬を流れる涙を、ジョットはそっと拭ってくれた。







「はは!お前はよく泣くなぁ…」
「ごめんなさい…私…私…」
「俺が全て悪かった…お前をどうすれば守れるのか、ずっと答えが出なかったんだ…
 だからデイモンに弱みを突かれてしまった…」
「違うの!私が貴方を信じていれば…不安だったの…!全てが不安だったの…!!
「すまない…俺がお前の話を聞いていれば…俺の子が、いたんだろう?
ッ!!
「本当に、すまない…」
「…違うわ!貴方に迷惑をかけたくなかった!
 言えば貴方を束縛してしまいそうで!貴方には自由に生きてほしかったから…!
「だから…俺に告げずに逝ったのか…」
「ごめんなさい…」









泣いて謝る私に彼は頭を上げるように言った。
優しい目で見つめる彼を見て、やはり後悔した。
あの時、勇気を出して言わなかったこと。
包丁を手にしたこと。

それを思うと、また涙が溢れてきた。









「何故また泣くんだ…」
「ごめんなさい…ジョット…
 私、やっぱり貴方のこと愛してた…あれが貴方じゃないって気付いたときにはもう…
止まらなかったのッ!  どれだけ押さえても、止まらなかった…!
 後悔して後悔して…っ!








次の瞬間、私の口は塞がれた。
暖かい、懐かしい感覚に、私はジョットの服を掴んだ。







「時間だ…」
「ジョット…」
「お前は過去に帰るんだろう?」
「嫌…!私も連れてって…!
「お前は200年前のだか、200年前とは少し違う」
「え…」
「今は、俺ではなく、キャバッローネのガキを愛してるんだろう?」
「…」
「俺はいつまでもお前を愛している…
 また生まれ変わったのなら…会おうじゃないか
 いつまでもお前の幸せを願っている」








そう言ってフッとジョットは消えた。
地面に座り込み、涙を流す私の背を、誰かが撫でてくれた。










「…ディーノ…?」
「ツナたちが待ってる」
「え…」


さん」
「ツナ…」
「過去に、帰りましょう」
…うん!




















2014/02/08