数日後、私はジョットに『あのこと』を伝えようと心に誓っていた。











La Traviata  46







今日こそ、言うのよ…

そう生唾を飲み込み、ジョットの書斎を訪ねた。
彼は最近の忙しさに、書斎に篭もりっきりになっていたのだ。







コンコン







ドアをノックすると部屋の中から返事が返ってきたのでドアを開けた。
ジョットは部屋の中でマントを羽織っているところだった。








「あぁ、か」
「お出かけ…ですか?」
「あぁ。ちょっとな」
「そう…」
「何か用事でもあったか?」
「…ちょっと貴方に話したいことがあって…」
「悪いな。今は時間がない…今夜聞こう」
「…はい」
「じゃあ、行ってくる」
「いってらっしゃい」








私の横をサッと横切っていくジョット。

とても忙しいんだわ、私が邪魔をしては…

そう思いながらも口からでたのは溜息だった。








※   ※   ※










とある山奥。
ジョットとG、それにシモン・コザァートが真剣な顔で話をしていた。





「裏切り者のDにどうケジメをつけさせるんだ?」
「G」
「そのことだが、オレにも考えがある。
 今回の件は何もなかったことにしないか?」
「!!」
「オレ達シモンファミリーはボンゴレの戦いに加わり戦死した。
 それが真実でいいじゃないか」
な!?
 何を言ってるんだコザァート!!

「……強い予感がするんだ…デイモンという男…決して侮ってはならない。
 もしD・スペードを倒そうとすれば多大な犠牲が出るだろう。
 そしてデイモンが生き続ける限り、オレ達シモンはお前の弱点になる。
 ならあ表舞台から去ったほうがいい」
それがどういうことなのかわかっているのか コザァート!?
 表舞台から姿を消し、日陰の道を歩むということがどれだけ壮絶かを!
 子供たちはどうする!
 オレ達の業を子孫にまで背負わせる気か!
そうだ
!!






どうしても引かないコザァートにジョットは歯を食いしばった。







「…わかった
 ただし、誓いを立てさせてもらうぞ」
「?」
「ボンゴレが存在する限り永遠にシモンを陰から支えていく」
「ならオレも誓おう。
 この件でシモンファミリーはボンゴレファミリーを恨んだりはしない。
 ましてや両ファミリーが争うことは未来永劫 無い」
「あぁ」




『言ってしまったね
 マフィアの掟は仕切らせてもらおう
 ジョット君にコザァート君』



奴らは!!
復讐者!!
 それとも…バミューダ・フォン・ヴェッケンシュタイン…と呼ぶべきか?








二人の前に現れた復讐者。
殺気が辺りに充満していく。
そんな最中、復讐者であるバミューダが口を開いた。






『ボンゴレとシモンがこの先、争うようなことがあれあ我々が罰を与える』
「何を言っている。お前達には関係のないことだ!
 たとえ、掟の万人であっても」
『そうはいかない。とくにジョット君はね
 おしゃぶりを持つ我々アルコバレーノとボンゴレはずっと先まで絡み合う運命なんだ。
 君の子々孫々までね…』
「虹(アルコバレーノ)!?
 なんのことだ……?」
君の持つ懐中時計だよ、ジョット君
「これは…お前には関係ない!
は我々にとっても大事な存在でね。
 その時計はこの先、幾年にも渡って受け継がれるものなんだ、彼女と共に…』
「!!
 に何をした!?
『何も…
 ただ、彼女は選ばれたのさ。アルコバレーノの“時の管理者”に









その日の夜遅く、ジョットはGと共に帰って来た。
その知らせを聞いて私は急いで玄関まで迎えに行った。
ジョットの顔は何かショックなことを知ったかのような顔をしていた。
彼の顔を覗きながら尋ねた。






「ジョット?どうしたの?
 G、何かあったの?」
「いいや、別に…」
、部屋に来い」
「は、はい…」






腕を引っ張られて部屋まで連れて行かれる
掴む力が少し強くて、痛いが、何も言うことはなかった。
部屋に着くと、ドンッと壁とジョットに挟まれた。







ど、どうしたの?
「この時計、どうした?」
「え?」
「どこで手に入れたんだ?」
「ど、どこって…街の時計屋さんよ…
 貴方の知り合いって方が、ボンゴレファミリー創設記念にって…」
「知り合い…?どんな奴だ?」
「それが…」
「どうした?」
「ちょっと変な人でね、声は聞こえるのに唇が全然動かないの…
 それに、赤ん坊がいたわ。透明のおしゃぶりを持った…
バミューダ…ッ!!







ドンッ







ジョットの拳が壁を叩いた。
とても怒っているようで、は不安そうな顔をした。







「ど、どうしたのよぉ…?
 もしこの時計をもらっちゃダメなんだったら返してくるわ…」







そうが口を開くと、ジョットはをギュッと抱きしめた。







「ジョット…?」
お前は…俺が守る…っ!!
「え?」







は肩で息をするジョットの背中をそっと撫でて落ち着かせようとした。







「大丈夫よ…私は貴方の傍から離れませんから



















2014/02/07