チョイスが始まって数分、ツナがボンゴレ匣を開口した。
La Traviata 41
大空属性のライオン。
ナッツと呼ばれたライオンはガオッと雄叫びをあげた。
「ボンゴレ匣ってのはな、匣アニマルが武器そのものになる
ボンゴレが独自に改造した匣兵器なんだ。
しかもその武器は初代ボンゴレファミリーのものだ。
ツナの大空ライオンの形状は…全てに染まりつつ全てを飲み込み包容する大空…」
「一世のマント(マンテッロ・ディ・ボンゴレ・プリーモ)…」
私は、無意識のうちに呟いていた。
すると、カタカタっと時計が動いた。
「わわ!時計が…」
「の気持ちに呼応してるのかもな…」
「まさかぁ…時計は動物じゃないわ」
「もしかして…これも匣だったり…?」
「まさか、ディーノ…バカなこと言わないでよ」
「でもそう考えると200年も動いていた謎も解けるぞ」
「リボーンまで…」
私はスーツの内ポケットから時計を出した。
金で装飾された懐中時計は、やはり変わらず、時を刻み続けていた。
※ ※ ※
チョイスという戦いは予想以上に苦戦した。
そして入江の胸からターゲットの炎が消えた。
私たちは急いで、入江の元に向かった。
「ひどい怪我…」
「了平、腫れゴテを開匣しろ」
「おう!」
「すまないリボーンさん…」
そう言って入江はパラレルワールドについて説明し始めた。
そして自分が体験した話も全てた。
“もしも”の世界なんて…いっぱいあるに決まってる。
「そう…さんのもしもの話もあるんだ」
「…私?」
「そう…君がボンゴレ9代目に拾われてなかったらって話だよ…」
「そんな…」
「その世界では君は白蘭さんと一緒にいた」
「えぇ!?」
「どの世界の白蘭さんも君をずっと傍に置いていた…
パラレルワールドを行き来するためには“君”という存在が不可欠だったんだ」
「そんな…」
するとリボーンが口を挟んできた。
「でもこの世界で、は白蘭に会ってないぞ」
「そう…僕のせいなんだ…
僕が…白蘭さんの能力を目覚めさせてしまい、さんの存在を知らせてしまった…」
「どういう…!」
「僕が過去に戻るとき、白蘭さんの手のものに発信装置を仕掛けられて、
過去の白蘭さんにメッセージを伝えてしまったんだ…
そして、数多のパラレルワールドの中でもこの世界だけが白蘭さんを倒す世界なんだ!」
「それは未来のお前が過去のお前に指示をしてつくった未来だからなんだな」
「それだけじゃない…
僕と綱吉君が唯一、偶然出会えた世界なんだよ」
「それでお前は、白蘭を倒すにはこの時代しかねぇって言ったんだな」
「あぁ。
他のどのパラレルワールドでもトゥリニセッテを奪われ、ボンゴレファミリーも壊滅しているだろう…」
その話を聞いてみんなは口を閉ざした。
「綱吉君、10年後の君が処刑される前日、言っていたよ。
“もうすぐ一番可能性を持っていた頃のオレが来る”って」
「え!?」
「たしかに経験も体力も知力も今の自分よりはるかに劣る…
でもあの時の自分が仲間との毎日の中で成長力と意外性がある、白蘭を倒せる一番可能性を持った自分だって」
「なのに…負けちゃった…
そんな大きな意味や思いがあるなんて知らずに…」
「そ。
君達の負け♪
僕の事こんなによく分かっているのに、残念だったね、正チャン♪」
「白蘭!!」
「約束は守ってもらうよ。
ボンゴレリングは全ていただいて…と時計も。
君達はどーしよーかなー」
入江はチョイスの再戦を申し出た。
以前のチョイスの際、入江の願いを聞くという約束をしていたそうだ。
しかし白蘭が聞き入れるわけもなく、断ってきた。
そこに現れたのは…
「私は反対です、白蘭。
ミルフィオーレのブラックスペルのボスである私にも…決定権は半分あるはずです」
「ユニ…貴様…!」
目の前に現れたのはブラックスペルのボスであり、アルコバレーノ大空のおしゃぶりを持つユニだった。
「でかくなったな ユニ」
「はい リボーンおじさま」
「リボーンの知り合い!?
っていうか…おじさまー!!?
この赤ん坊のことをおじさまー!?」
「うるせーぞ」
「いって〜!!
だ…誰だよ あの子!?」
「オレの知り合いの孫だ」
「ま…孫〜〜!?」
「はじめまして ボンゴレのみなさん
お久しぶりです、お姉さま」
「ユニ…」
ユニを見て白蘭は笑った。
「すっかり顔色もよくなっちゃって…元気を取り戻したみたいだね、ユニちゃん♪」
「…病気でもしてたのか?」
「ちがうよ…白蘭さんの手によって…魂を壊されていたんだ」
「!!」
「白蘭さんはブラックスペルの指揮権を得るために、彼女を口利けぬ身体にしたんだ…」
「人聞きの悪いこと言うなよ、正チャン。
ユニちゃんは怖がりだから精神安定剤をあげてただけだよ」
「いいや
あなたはブラックスペルの全身であるジッリョネロファミリーのボスだったユニとの会談で
無理矢理 劇薬を投与して彼女を操り人形にしたんだ。
そうだろ?ユニさん…」
「そ、そんな…」
「でもその間、私の魂はずっと遠くへ避難していたので無事でした。
白蘭、あなたと同じように私も他の世界へ翔べるようです」
そう言って私の方へ歩み寄って来るユニ。
そして私の手を取った。
「話を戻します…
私はミルフィオーレファミリー、ブラックスペルボスとしてボンゴレとの再戦に賛成です。
あの約束は…白蘭と入江さんとの再戦の約束は本当にあったからです」
「僕の決断にに君が口出しする権利はないな。
君はあくまでNo2だ。
全ての決定権は僕にある。
この話は終わりだよ」
「…そうですよね…わかりました。
では私は、ミルフィオーレファミリーを脱会します」
「ユニ!」
「お姉さま、心配しないで…」
「!」
そして私の手を話、ツナの方に身体を向けた。
「沢田綱吉さん…お願いがあります」
「え!?お、お願い!?」
「私を守ってください」
2014/02/05