その翌日、回線が何者かにジャックされたらしい。







La Traviata  39






ラン♪ ランラン♪
 ランランラーン♪ビャクラン♪






陽気な音楽とともに画面いっぱいに白蘭の顔が現れる。
それを見て私は持っていた資料を落としてしまった。







『どう?面白かったかい?』
白蘭!!
『退屈だったから遊びに来たよ♪
 食べるかい?』







そう言って自分のパフェを画面いっぱいに見せる白蘭。
それを見て獄寺が「おちょくってんのか!?」と野次を飛ばした。







『なーんてね。
 本当は“チョイス”についての業務連絡さ』
「ぎょうむ…れんらく?」
『ほら、日時については言ったけど、場所は行ってないよね。
 6日後、お昼の12時に並盛神社に集合』
並盛で戦うの…!?
『んーどーだろーね。
 とりあえず必要な準備して仲間は全員連れてきてね。
 すくなくとも過去からきたお友達は全員だよ』

なに!?
「全員って…」
京子ちゃんやハルも!?
『そこに意味があるんじゃないか。
 みんなで来ないと君達は失格だからね』
な!?
『あ、そうそう。
 ちゃんは時計、持ってきてね♪
 旦那さんに守ってもらおうったってそうはいかないよ〜♪
 じゃあ、修行がんばってね〜♪』








ガタガタと震える私をディーノは抱きしめてくれた。








、落ち着け」
「だ、大丈夫…」
「にしても白蘭の奴、どーやって回線の入り込んだんだ?」
セキュリティがザルなんだぁ
 アマチュアどもがぁ








ドンとマグロを持って現れたのは10年後のスクアーロだった。
「みやげだ」とディーノに渡したマグロ。
そのときに私とスクアーロは目が合った。








「…
 若いってことは…あの時計を持ってきたんだなぁ」
「!」
「チビがいねぇのは静かでいいなぁ」
「おい、スクアーロ…」
「オレの生徒はどこだぁ?」

「もしかしてオレの家庭教師って…」







一歩前に出て答えた山本をそのままスクアーロは力一杯殴った。
その拍子に歯が抜け、床に落ちた。
気を失った山本はスクアーロが抱え、そのまま部屋を出て行ってしまった。








「このカスは預かっていくぞぉ」
「えぇ!?」
「ここはスクアーロに任せるんだ。
 山本のことはオレ達よりわかっている」








スクアーロという嵐が去ったあと、私はハッとして、ディーノの服を引っ張った。







「ねぇ、京子たちにもこのこと話したのよね…?」
「あぁ、ツナがな」
「大変…」








バタバタと走って彼女たちがいるであろう食堂へと向かった。
ハァハァと息を弾ませてバンッと食堂のドアを開けると、
二人がテーブルを囲んでいた。
空気はまるで、お葬式のようだ。








「あ、さん!そんなに慌ててどうしたんです?」
「お茶、今いれますね」







無理やり作っている笑顔。
私はそんな彼女たちの手をギュッと握った。







「聞いたの?話…」
「「…」」
「大丈夫?」
だ、大丈夫じゃないです!

「でも…でも!
 ハルたちがメソメソしてたらツナさん達が安心して修行できないです!
 だから…だから…!
 ハルは泣かないですよ!!みんな笑顔で過去に帰るんです!」
「そうなんです。私たち、もう決めましたから」
「…そう。
 強いのね」
さんも、狙われてるって聞きました」
「あぁ…そのことなんだけど…」








二人にも時計の話をした。
ポケーっと口を開けて聞いているところを見ると信じられてないようだった。







「現実味無いでしょ?」
す、すごいです!
へ?
昔からさんは愛した人に一途なんですね!
…は?
「だって今でもその時計を大事に持ってるなんて!すごいです!」
さん、私たちも頑張りますから、悩みを貯めないでください」








ニコッと笑顔を見せる二人に私も笑顔を見せた。








「ありがとう…
 よーし!今日は私も料理作るわよぉ!!」
「わ!さんもお料理出来るんですか!?」
「イタリア料理ならちょっとだけ…
 あ、そういえばさっきスクがマグロ持ってきてたっけ…ちょっと待ってて!」







数分後、食堂には大きなマグロ一匹がドーンと置かれていた。






「はひー…でっかいです…」
「これ、どうやって裁くんですか?」
「スクと山本、どっかいっちゃったし…あ!草壁さん!呼んでこよう!










※   ※   ※








その頃、白蘭は大好きなマシュマロを頬張っていた。






「ほら、おそろいの戦闘服♪」






そう言って見せる黒いコート。
桔梗はそれを見て頭を下げた。







「かっくいー びゃくらん」
「呼び捨てするな!」
「いいんだよ、ブルーベルは♪」
「最近びゃくらん、ブルーベルより見てるからヤキモチ焼いてるのー!」
「あは♪そんなことないよ」
あーるー!!
はね、僕のお嫁さんになるからね♪」
「ニュニュ〜…には子どもいるじゃーん!!」
殺したらいなくなるからね♪そんなの関係ないんだよ」
なんて…ただのおばちゃんじゃーん」








また頬張るマシュマロ。
それを一つ、ブルーベルの口に放り込んだ。







「ブルーベル…
 の悪口を言うと、殺すよ」
ッ!




「さて…スタート、だね」















2014/02/05