さん!!

遠くの方で誰かがそう叫ぶのが聞こえた。











La Traviata  36











「ん…」
さん、大丈夫ですか!?
「…ツナ…?」
「なんでこんな…」
「彼女もノン・トゥリニセッテを浴びてはならない体質なんだ。
 大丈夫。ここの空気は浄化済みだ。すぐに良くなる」
…は!入江正一!!







ガバッと身体を起こする少し目眩がした。
しかし私の目はしっかりと入江正一を捉えていた。








「そ、そんな目で見ないでくださいよぉ〜」
「よくもまぁ…私たちを騙しておいて!!
「…へ?さん、さっきの話聞いてたんですか?」
「さっきの話って?」
「僕らを強くするためわざと攻撃させた、とか、本当の敵は白蘭だ、とか…」
「聞いてない。
 けど、知ってる
はぁ!?









ツナは驚きの声を上げた。
入江正一はバツの悪そうな顔をして頭を書いていた。
この計画を知っていた人物は、10年後のツナ、雲雀、入江に加え10年後の私も加担していたようだった。
パンパンッと服に付いた埃を払い、私は一枚の紙切れを入江正一に渡した。








「未来の私が過去の私に宛てて書いたメモよ」
「…」
「暗号だけど、あんたなら読めるでしょ?
 未来の私もこの作戦のことは知ってた。」
「未来のツナと雲雀はほんとに馬鹿だわぁ。
 過去の自分たちが私を除け者にすることまで予想して、こんな手紙書いてるんだから」
「え?どういう…」
だからぁ!
 私がここまで一人で来るように仕向けたのよ!
 まぁ、ここまで誰にも合わないようにしたのもそこの眼鏡でしょ?」
うッ…
「ほんと、私をバカにしたらタダじゃおかないんだから」








ちょっと!早く私のリングとボックス返してよ!

と半ば叫びながら言うに入江は頭が上がらない様子だった。
その直後、イタリアの主力戦でヴァリアーがミルフィオーレに勝利したという連絡が入った。
一同が安堵していると、どこからか、男の声が響いてきた。








いいや
 ただの小休止だよ



「「「「「!!」」」」」


イタリアの主力戦も、日本のメローネ基地もすんごい楽しかった







ホログラムで現れた白蘭は、何故か人間には見えなかった。
笑ってはいるけど、人間の表現するような喜怒哀楽ではないような気がした。








『沢田綱吉クン率いるボンゴレファミリーと僕のミルフィオーレファミリーの
 正式な力比べをしないかい?
 もちろんトゥリニセッテをかけて








そこで現れた真六弔花。
入江正一たちは白蘭に騙されていたらしい。
めちゃくちゃな強さと残酷さを兼ね備えた白蘭率いる真六弔花に私たちは声が出なかった。








『あぁ。そうそう。
 トゥリニセッテもかけるんだけど、そこにいるちゃん
「!」
『過去の君のほうが魅力的だね、壊しがいがある
白蘭さん!!!
『おっと♪正チャンが怒った♪
 本題だけどにも参加してもらうよ、“チョイス”にね
「一体何を…」
『君が過去から持ってきてくれた《ジョットの時計》
 それがすごーく欲しいんだ♪








私はとっさにポケットの中に入れてあったボックスを握った。
それを見たのか、白蘭はニンマリと笑った。







あは♪そうそう、そこにある時計ね。
 君と一緒じゃなきゃ意味ないらしいから、君と一緒に貰いに行くね♪
 さて。
 もっと話したいんだけど、でも君たちはもう逃げないとね』
「?」
『君達のいるメローネ基地はもうすぐ消えるからさ』
「消える!?」
『正しくは基地に仕込まれた超炎リング転送システムによって移動するんだけどね』









次の瞬間、周囲が光に包まれた。
何処かに捕まっていろ!という叫び声は聞こえたが周りの様子が全く分からない。
凄まじい音と共に鳴り響く地響き。
光がなくなり、目を開けると、今まであったハズの基地が全てなくなっていた。









メローネ基地が消えた!!!
「こ…こんなことが…!」
「本当にテレポーテーションなんて…」

極限にここはどこだー!!??







私たちがテレポーテーションで基地と一緒に飛ばされなかったのは
過去から笹川了平がやってきたからだった。
これでボンゴレリングが全て揃った。







てめーらぁ
 生きてんだろうなぁ!!!








ヘッドホンから漏れるスクアーロの声。
ヴァリアーから通信をつなぐよう要請されたようだった。







いいか!
 こうなった以上ボンゴレは一蓮托生だ。
 てめーらがガキだろーと…」






ドガッと何やら硬いものがスクアーロを直撃したようだった。







「沢田綱吉」
「!」
「乳臭さはぬけたか」
「!!」
「10日後にボンゴレが最強だと…証明してみせろ」
「えっ…」

、そこにいるんだろう」

「イタリアに来い。
 お前は白蘭に狙われてる…」
「いいえ。私は行かない」
「…まだ言うのか」
「私はチョイスに参加しなきゃいけないの。
 だからイタリアには行かない。」







それを聞いて不機嫌になったのか、通信はブツっと途絶えてしまった。



急に…


急に兄貴面されても、困るのよ、馬鹿…














2014/02/02