作戦室ではジャンニーニが額に汗をかきながら何やら整備していた。







La Traviata  35





「ジャンニーニ、どうだ?」
「それがですねぇ、何やら電波が傍受されてるみたいで…」

「無線?」

さん!
ちょっと貸して
「へ?でも…」
「これでも10年前では世界一のスパイって言われてるの。
 これくらいのシステム、どうってことないわ









カタカタとキーボードを叩く。
よくわからない画面が現れては消え、現れては消え、を繰り返していた。



数十分後、システムとの格闘の末、向こうの声が聞こえるようになった。








わわ!さん、流石です!
「でもまだノイズだらけだわ。ホログラムも送りたいのよね…」
「それはお任せください!作ったのは私ですから」
「そう?
 …ねぇ、ジャンニーニ。この眼鏡の男って…」
「あぁ。そいつが入江正一です。
 どこにいるかは分かりませんがメローネ基地を任されてる6弔花です
「…私、部屋に戻るわ」








急ぎ足でドアに手をかけた時だった。
後ろからリボーンに呼び止められた。










「何を考えてんだ?」
「…大丈夫よ」
「アジトから出るなよ。
 もしかしたら10年前のお前にもノン・トゥリニセッテは有害かもしれねーからな









その言葉に返すことはなかった。

部屋に行くと机の奥にしまっていたボックスを取り出した。
髪を結ぼうとしたが、手頃なゴムが見つからず、飾ってあったリボンで髪を結んだ。

なんでゴムがないのよ!」と独り言を言ったが、そういえば未来の私はショートカットだったことを
思い出し、そのことは水に流すことにした。









並盛の地下ショッピングモールの不審ダクトの位置は理解していた。
だが、どこのダクトからツナたちが侵入したのか分からない。
ビアンキが見送りに行っていたから、鉢合わせしないとうにしないと…

アジトの出入り口から外に出た。
太陽が昇り始めていた。








ふふーん!ノン・トゥリニセッテなんて私には…」







そう思った瞬間、クラッと目眩が私を襲った。
それに吐き気。
やはり過去の私にもノン・トゥリニセッテは有害だったらしい。
空気に混じって充満しているそれは地下に入っても同じことだった。

運良くビアンキに鉢合わせせずにメローネ基地に潜入できたが、
なんせどこに何があるかが分からない。
リングは一応、マモンチェーンを巻いてきたが本当にレーダーに探知されないのかも定かではない。








「早く…入江正一に会わないと…」








※   ※   ※







迷いに迷って早3時間が経とうとしていた。
体調もドンドン悪化していくのを感じていた。
だが、幸運にもミルフィオーレには誰ひとりとして会わずに今まで進んで来ていた。







「えーっと…次はどっちかしら…」







二手に分かれるドア。
それの左を開けた。
すると…








「あ、あれは…」
「やぁ。
入江…正一…!!








マモンチェーンを外し、リングに炎を灯す。
しかしその瞬間、ビリッという感覚が体中を走り、気を失ってしまった。







「入江様、この者はどうしますか?」
「そこの柱に繋いでおけ」
「かしこまりました」
「リングとボックスは没収だ」
「はい」









早く来てくれよ…沢田綱吉君…

入江正一は心の中でそう呟いた。














2014/02/02