「、コーヒー」
「ママ、ジュース!」
「こら!リボーンおじさんの真似しちゃダメ!」
La Traviata 31
9年前のリボーンがアジトにやってきて2日。
山本も出かけ、今のアジトには私とロベルト、そしてリボーンだけだった。
ロベルトはリボーンに気を許したらしく、今ではリボーンの真似をして遊んでいる。
それを叱るのも疲れるのだ。
二人に3時のおやつを出していると、ウイーンと応接室のドアが開いた。
するとそこから現れた懐かしい顔。
リボーンに頭を派手に蹴られ、涙目になっているがツナに間違いなかった。
「ツナ…ッ!!」
「わ!さん!?」
ツナが叫ぶのと同時にツナを抱きしめた。
10年前の姿だからか、私の胸にボフッと顔が埋もれてしまっていたが、
そんなことを気にも止めずにギューッと抱きしめ続けた。
「ほんと!馬鹿なんだからッ!!!」
「さ…苦しッ…」
「わー!ツナおにいちゃんダメーッ!!」
そんなツナを見たロベルトが真っ赤な顔をして大声を出した。
「ママのおっぱいはぼくのなんだからね!」
「へ?」
「たまにパパに貸してあげるんだけど、ツナおにいちゃんはまだダメなの!!」
「は!?/// なんだ、このガキ…」
「ガキとは失礼ね、隼人!」
ツナを開放したあと、私はヒョイッとロベルトを抱き上げた。
「私の息子、ロベルトよ」
「「はぁッ!!??」」
「なに?そんなに驚くことじゃ…あぁ、10年前から来たのよね。
あれ、山本は…そのまんまなんだ」
「あぁ」
「そこに寝てるのは…ラル・ミルチ?」
「合流できて良かったぜ、ほんと」
私が山本と話している間、ロベルトはずっとツナのことを睨んでいた。
自分の知っている人よりも小さいことが不思議なのだろう。
そんな彼の頬に私はチュッと口づけした。
「さ、お昼寝しましょ」
「ママもいっしょに寝るぅ」
「今日だけね」
そう言って私は応接室を出た。
「10代目…あれって、ですよね?」
「うん…なんか大人っぽかったね」
「でもあいつ…子持ちッスよ」
「そだね。ロベルトくんのお父さんって…」
「ディーノさんだぜ」
「山本!それ、ほんと!?」
「あぁ。まぁ、今は音信不通だけどな」
「え…」
そこから山本は真剣な話を持ち出した。
「今もボンゴレ狩りは進行中だ」
「ボンゴレ狩り…?」
「オレ達の知人まで狙われてる。
今、ビアンキやフゥ太がさんの情報網を使って情報収集に出かけてる。
だが…この2日間でロンシャンや持田は行方不明、この10年間で出来た知人もほとんど消された…」
「山本の親父もな…」
「…」
「イタリアのボンゴレ本部は壊滅。
さんはディーノさんの指示で日本に逃げて来た。
小さいロベルトがいるからな。
そんなディーノさんとも今は音信不通だ」
※ ※ ※
翌々日、アジトは賑やかに朝を迎えていた。
「ロベルトォォォォォ!!オレっちと遊ぶんだぞぉぉぉ!」
「きゃーーーー」
「こらーっ!ランボちゃん、ロベルトちゃん!
走り回っちゃいけませーん!!」
10年前からやって来たランボにイーピン。
ロベルトと歳が近いからか、朝から走り回っている。
それを後ろから追いかけるのはハル。
エプロンをかけてる様子から見て朝食作りの途中だったようだ。
そんな二人を私は両手で受け止めた。
「はい、ストーップ!」
「ボフッ」
「うぷっ」
「さ、ランボもロベルトも、朝ごはん食べましょう」
ツナたちも起きてきて朝ごはんを食べていると
食堂のドアがバンッと開き、ラル・ミルチとリボーンが現れた。
「聞け!!
最低限の戦闘知識と技術はオレが叩き込んでやる」
「え…じゃ、じゃあ……」
「日本に送られているのはミルフィオーレの中でもトップクラスの舞台だ。
お前たちの戦ったブラックスペルが全力できたらひとたまりもない。急ぐぞ」
「あ…そういえばそのブラック何とかって…?」
「ミルフィオーレは2つのファミリーが合併してできたファミリーなの」
「さん…」
そんなことも知らないのか、と額に青筋が浮かんでいるラル・ミルチの代わりに私は口を開いた。
「白蘭擁する新進気鋭のジェッソファミリーとユニ擁するボンゴレと同等の歴史を持つジッリョネロファミリーのね。
そしてジェッソ出身者はホワイトスペルとして白い制服、ジッリョネロ出身者はブラックスペルとして黒い制服を着用しているの。
ちなみにホワイトスペルは緻密で恍惚な戦いを得意とし、ブラックスペルは実践でならした猛者が多いと言われてるわね」
「へ、へぇ〜」
「まぁ、ラル・ミルチは戦闘のプロよ。頑張って」
「おい、」
「え?」
「アンタの力も貸してほしい」
「…は?」
「戦闘能力・射撃能力はトップクラスだ。それにボックスも持ってるだろう」
「いやー。ラル、私が戦線から離れて何年経つと思うの?無理よー」
ラル・ミルチは私の返答にちょっとブスッとしたが、納得したらしく、
ツナ、獄寺、山本を連れて地下のトレーニングルームに向かっていった。
「さん、あの人誰なんです?」
「ラルのこと?彼女はとっても強い軍人よ、イタリアのね」
「ひえ〜〜!凄いですぅ」
「でしょ?昔からの知り合いなの」
ラル・ミルチはアルコバレーノの出来損ない。
だからこそ、成長したし、今も生きてる。
先ほどラルに言われた言葉が頭の中で木霊した。
『アンタの力を貸してほしい』
そして私は自分の指にはまる3つのリングを見た。
一つはディーノにもらった結婚指輪。
あとの二つは女性の細い指には似合わないほどに装飾が施されたいかついリング。
どちらも精製度Aのリングだった。
「力ねぇ…」
2014/01/31