翌朝、起きた私はの格好で学校に行った。









La Traviata  21







キャー!!!くんが来てるーッ!!!









黄色い声が教室に響いた。
はいつもギリギリに着くため、今回もほとんどの生徒が席に着いていた。









ガタンッ









誰かが勢いよく椅子から立ち上がる音が響いた。
それはツナで、とても驚いた顔をしていた。
山本も、獄寺もそれは同じで、心配そうな顔をしていた。









「よっ!ツナ、久しぶり」
さ…あ”!
「何変な顔してんだよー。俺の顔に何か付いてる?」
「おい、!!」
「うっわ!獄寺、イキナリ大声出すなって」
「おまっ…こんなとこで何やってんだよ!昨日の今日で…」
お前らの顔を拝みに来たんだよ
「「「」」」








その言葉を聞いて、ツナ・獄寺・山本の3人は顔を強ばらせた。
図星だったのか、口をつぐむ三人を見て、は「はぁーっ」と大きな溜息を付いた。








「どーせ死人みたいな顔してると思ってたけど」
「「「…」」」
「ま、話しよーや。来いよ」








は3人を屋上に連れて来て、口を開いた。
それまで一言も発しない3人を見て、は大声を上げて笑った。









「怖いか?」
「「「」」」
「まぁ、怖いだろーな。あいつら強いし。お前らの覚悟次第では負けるだろうな」
「そ、そんな呑気なことよく言ってられんな!負けたらお前も…死ぬんだぞ!?
それがどーした
「「「!?」」」
「俺には覚悟がある。
 死ぬ覚悟と、信じる覚悟だ。お前らにはそれがあるか?俺はお前らを信じてる。」
さん…」
「今日はそれだけを言いに来たんだ。ツナなんか特に死んだ魚のような顔してると思ってたからな」
うッ…
「ま、今日の夜、また会おうぜ☆」








チャイムが鳴ったから行け!と半分追い出すように3人を屋上から去らせた
溜息を付き、柵にもたれ掛かった。







「…どうした?」
「リボーン。別に…あいつら、大丈夫かなぁーって。
 俺のせいで、重荷を増やしちまったよーな気がしてさ」
「俺の生徒を信じないのか?」

「俺を舐めるな。そして、俺の生徒を舐めるな







それだけ言って消えたリボーン。
私はその場でフッと笑った。







「頑張れ…ボンゴレ]世…」









※ ※ ※ ※










「おい、行くのか!?
「えぇ…」
「身体は大丈夫なのか!?」
「勿論」
「そんなわけねーだろ!そんなにやつれてんのに…」
「私は見とかないといけないの。あの子たちの戦いを…」
「…」
あの時みたいに…








最後の独り言はディーノに聞こえていないといいけど、と心配になりながらもホテルを出た。
ディーノは用事があるといい、私を並中まで送るだけになると言っていた。








「私は大丈夫だから、行って」
「あぁ…」
「気を付けて」
「…なぁ、
「ん?」
「…別に、何もない」
「そう。じゃあ、また後で」
「あぁ」








去り際に頬にキスをすると、ディーノはそのまま車を走らせていった。
その時のディーノの様子がとても気になった。
私の受け答えに納得のいかないような、そんな様子だった。

校庭に着くと、もうすでにボンゴレチームは揃っていた。








「あ、さん。来たんですね」
「勿論。私が来ないと、始まらないんでしょ?」
「なんだよ、その言い方」
「なに、隼人。気に入らない?」
「べっつに?昼間とはぜんっぜん様子が違うから、調子でねーぜ」
ごめんねー☆私、普段はこんなヤツなの」







べーっと舌を出して隼人を挑発する
でも実は人をからかう余裕なんてなかった。
今夜は晴の守護者の戦いだってそうだ。
笹川了平がコロネロの特訓を受けて強くなったことは知っている。
でも、ルッスーリアの強さも知っていた。
輝くリングをサングラス越しに見つめながらは息を飲んだ。










「!」
「了平を信じろ」
「…勿論信じてる。でも…」
「…」
「でも、重なるの」
「?」
「あの時の状況と重なって…震えが止まらない」









リボーンにそれだけ言うと、はまた口をつぐんだ。

明らかなる経験の差を埋めるのはきっと、死ぬ気の気持ち。
ルッスーリアはとても強い。
でも死ぬ気の気持ちは了平のほうが強かった。
ギリギリだったが、了平は勝った。
真の晴の守護者として、日輪を輝かす力を持っていた。
は大きく溜息を付くと、みんなより先に並中を出た。
誰とも話す気にはなれなかった。


ホテルの部屋に着いた。
ディーノはおらず、真っ暗だった。
ベッドに転がり、天井を見た。








大空を照らす太陽のような笑顔が好きだ…って、言ってくれた…








記憶のカケラが一つ、見つかったかのように思い出した言葉。
口にしたときには、頬に涙が伝っていた。












2013/11/26