「これに着替えろだってさ、姫♪」








La Traviata  20






日本まであと1時間。
ベルが投げてよこしたのは、の変装道具だった。
不審に思いながらも私は逆らわずに着替えた。







「…どこ連れてく気?」
「声まで男だな」
「…ふん!」
…並盛だよ
!?
「お前、まだ正体バラしてねーんだってな?」
「っ!?」









そこで目隠しをされ、口を塞がれた。
並盛のどこに連れて行かれるのか、今どこなのかもわからない。
ただ、ドンドンと不安は募っていった。









「お前らかぁ!!守護者っていうのはぁああ!!
で、でたーっ!
「雨のリングを持つのはどいつだぁ」








スクアーロが誰かと話す声が聞こえる。
すると、ツナの大声が聞こえた。







「ねぇ、あの人が抱えてるのって…」
か!?」
くん!!!」







ツナや山本の声が聞こえた。
その声で胸をなで下ろしたのも束の間、一気に目隠しと口の粘着テープを外された。








「いって!!何しやがる!!」
「おいおい。口が悪いなぁ、あ?
ッ!ザンザス…








ザンザスに頭を持たれ、無理やりツナと目を合わせられた。
下には守護者の他にディーノ、リボーンがいた。







「ここからがお楽しみだぜぇ、
「!?」
「今、あの人って言った?」
仲間を騙し続ける度胸より、仲間にバラす度胸のほうがねぇよなぁ!!
やめッ…!!







次の瞬間、ザンザスに髪の毛を引っ張られた。
ウィッグが外れ、赤い髪が現れた。

私は下を見ることができず、うつむくことしか出来なかった。








…さん?」
「ツナ、ごめん…」
「これで分かったか、沢田綱吉!!お前はじじいに信用されてねーんだよ!」
「なっ!」
「違うわ!!ツナ、あなたは9代目に認められている!!!
「うっせぇぞ、!!
「きゃ!」









ディーノの叫ぶ声が聞こえた。
ザンザスに突き放された私は、首に冷たいものが当たったことに気づいた。









「う”おぉぉい、こいつは預かるぞぉ!!」
!!」
「ディーノ!!」
「跳ね馬ぁ!は俺がもらう!」
「スクアーロ!を離せ!!」
「お前にはこいつは手に余るだろぉがぁ!!」
「!」







次の瞬間、門外顧問である沢田家光率いるチェデフのメンバーがやって来た。








「まぁ、待て。ザンザス」
「家光…」
「まずはそこにいる姫を離せ。姫は関係ねーからな」
家光!!
「すまんな、姫。もうちょっと早く助けたかったんだが、タイミングがな」
馬鹿ッ!!
「おー、怖い怖い。9代目の勅命を待ってたんだ」







そしてボンゴレリングをかけた一対一のバトルが始まることになった。









「今回のリング争奪戦では、我々が審判と努めます」
「「「!?」」」
「我々は9代目直属のチェルベッロ機関の者です。
 リング争奪戦において我々の決定は9代目の決定だと思ってください。
 9代目はこれがファミリー全体を納得させるギリギリの手段だとおっしゃっています。
 依存はありませんか?ザンザス様」
「…」
「ありがとうございます」
「待て、意義ありだ」








チェルベッロ機関なんて、私も聞いたことがない。
スクアーロの刃は未だに私の首を捕まえている。
家光もディーノも下手に動けないようだった。
色々と考えを巡らせていると、誰かに名前を呼ばれた。









「へ?呼んだ?」
「貴女様にもこの戦いを最後まで見届けてもらわなければなりません」
「…なんで…」
「歴史は再び、巡り来るのでございます」
「!」
様。それに関し、貴女様にも賭けてもらうものがございます」
「何を…」
、です」
!?








それを聞いたスクアーロとディーノが大声を出した。







は関係ねぇだろうぉ!!
「そうだ!は守護者でもなんでもない!!」

「いいえ。様はとても重要な人物でございます。
 様はどちらかのチームについていただきます。
 そのチームが負けた場合、様には自らの手でお命を絶っていただきます
!!
「う”おぉぉい、。これ以上、話を聞くな。馬鹿げてる
「…私、ツナに付くわ」
「!?」
「かしこまりました。それではスクアーロ様、様はお離しください。」







スクアーロの手から離れた私は、一気にディーノの元へ飛び降りた。
彼は私を受け止めてくれると、そのまま力一杯抱きしめてくれた。








…!!
ディーノ!!
「すまん…」







私がツナのチームに戻ったのを見届けると、チェルベッロ機関はまた口を開いた。








「詳しくは追って説明いたしますが、場所は深夜の並盛中学校」
「え。並中でやんの!?
「それでは明晩11時。並盛中でお待ちしています」
「さようなら」

ちょ、待ってよ!!







ツナの声も虚しく、チェルベッロ機関とヴァリアーは夜の闇やと消えていった。
ディーノは私の髪を撫でながら耳元で囁いた。







…大丈夫か?」
「うん…あの、ツナ…」
「あ、…さん」
「ごめんね、ずっと騙してて」
さんが、くんだったんですね」
「…仕事だったの。本当に…」
ちょっと分かってました
「え?」
「ちょっとだけ、くんとさんって似てるなぁと思ってたんです」
「! …さすが、ボンゴレ10世…」
///









私がツナに笑いかけると、ツナの顔がボッと赤くなった。
それを見てまた笑っていると、後ろから誰かの声がした。








「おいおい、俺のせがれまで虜にしてくれるなよ、姫」
「家光…来るのが遅いわよ、馬鹿」
「おーおー。口が達者なのは変わんねーなぁ」
「え、父さん。さんのこと知ってるの?」
「…まぁな」
「ところで家光、9代目は…」
「あぁ、自宅療養になった。俺の部下がちゃんと見張ってる」
「そ…」
「9代目のことより自分の心配をしたらどうだ。顔色が悪い。
 ディーノ、姫を頼むぞ」
「あぁ…、行こう」
「うん…」









私はディーノに抱えられながら車に乗り込んだ。
ホテルまでの間、ディーノはずっと私の頭を撫でてくれていた。

ホテルに着くと、私はベッドに倒れこみ、死んだように眠った。












2013/11/25