私がヴァリアーの城に監禁された一週間が経とうとしていた。








La Traviata  19






スクアーロが戻ってきた。
見たことのあるボックスとリングがザンザスの前に並べられる。
元々持っていたハーフのボンゴレリングと共に指にはめる。
ドヤ顔をしたスクアーロ。








「ハーフボンゴレリングを褒美としてくれるってんなら、ありがたく頂戴するぜ」








しかし、ザンザスは、スクアーロの頭を持つと、机に力一杯叩きつけた。
叫びそうになった私は、口を手で押さえた。
鼻血を出しながらスクアーロは叫んだ。








な、何しやがる!!
「…偽物だ」
「!」
「おい、!!!
「…なに」
「知ってたな…?」







ドンドンとザンザスが私の前に迫ってくる。
手錠で柱に結ばれているため、動くことができない。







「…さぁ?」
てっめぇ…!!!








ザンザスの手が高く上がった。
私は身を強ばらせて、目を閉じた。








バシッ








激しい音が聞こえた。
しかし痛みはいつまでたっても襲ってこない。
恐る恐る目を開けると、目の前にはザンザスではなく、スクアーロが立っていた。
長い髪の毛でよく見えなかったが、血が床に落ちていた。









「なんで…」
「…」
はっ!昔の女を庇うたぁ、どんな神経だよ!
 お前ら、日本へ経つぞ!!あいつらを…根絶やしにする」









他の幹部が部屋から出て行く。
去り際に手錠も外された。
しかし、私は逃げるのではなく、すぐさまスクアーロに寄り添った。









「スクアーロ…大丈夫?」
「笑いたか笑ぇ…」
「なんで笑うのよ。ほら、傷、見せて…」








嫌がるスクアーロの傷を無理やり見た。
頬がひどく腫れていた。







「本気で殴ったのね…冷やさないと…」
「ほっとけぇ…」
「もう、馬鹿なこと言わないで」








メイドにアイスボックスを持ってきてもらうと、氷をフキンで包み、頬に当てた。
彼が強がりなのは一番よく知っていた。
今も強がっていることくらい、すぐに分かる。







「ありがとう、庇ってくれて…」
「ふんっ!」
「素直になればいいのに」
「うるせぇ」
「あはは」








私は笑いながらふと彼の左腕を見た。
義手であることは知っている。
私はこれが嫌いだった。勿論、今でも嫌いだ。
それでも、彼はこれを、誇りに思っている。







「…行くぞぉ」
「私も?」
あたりめぇだろうがぁ!!
「そっか。私の席もあるかなぁ」
あるわけねーだろ!
「空の上で死んじゃうじゃん。そんなのヤだからね」
「お前、今の立場分かってんのかぁ?」
「うん」








スクアーロは大きく溜息を付いた。








2013/11/24