城に着くと、そのまま9代目の書斎に向かった。
La Traviata 18
部屋へ入るには鍵がいる。
それは9代目から預かっていた。
一番奥にある机の、一番右端の引き出し。
私は深呼吸をして引き出しを開けた。
そこには古いながらも美しい装飾を施したボックスが置いてあった。
「綺麗…」
震える手で箱を開けた。
しかし中にはなにも入っていなかった。
そして次の瞬間…
「ッ!!??」
そこで私の意識は途切れた。
※ ※ ※ ※
暗い部屋の中、身体の自由は聞かなかった。
薄ら目を開けると、目の前に誰かがいた。
「おい、誰だよ、連れて来たの」
「俺だぁ、ボス」
「薬嗅がせすぎだ、カス」
「はぁあぁぁあ!?」
「起きねーじゃねぇか!」
「あ、ボス、起きたよ、姫が」
小さな手が私の頬をペチっと叩いた。
私が目を開けるとヴァリアー幹部が私を見下ろしていた。
「よぉ、お目覚めか、姫」
「ザンザス…!」
「まだいつもの勢いはないか」
「ッ!」
「お前にはこれから始まるショーの景品になってもらう」
「は?」
一枚の写真が私の前に舞って落ちてきた。
それは以前、ガナッシュに見せてもらった指輪と、それを入れているであろうボックスだった。
「これ、知ってるよなぁ?」
「…」
「吐けよ、場所」
「知らないわよ、そんなもの」
「じじいが誰かに持たせた。それは分かってんだ」
「9代目の行動の全てを知ってるわけじゃない」
「しししっ!早く吐いちゃえよ、姫!」
ベルフェゴールのナイフが私の首に食い込むのを感じた。
「はっ!私を誰だと思ってるの?知ってても吐かない」
「…では、跳ね馬を殺す」
「!」
「これでもか?」
「…えぇ」
「おい、カスザメぇ!!」
ザンザスは壁にもたれて事を伺っていたスクアーロを大声で呼んだ。
「う”ぉお”おぉい、なんだぁ?」
「跳ね馬を殺せ」
「…あぁ」
スクアーロは私を見た。私は彼を睨み返した。
彼は何も言わずに部屋を出ようとした。
が、その瞬間、電話が鳴った。
受けたスクアーロの口角がドンドン上がっていく。
「う”おぉ”おぉい、ボス!リングは日本だぁ!!」
「なに…?」
「チェデフのガキが日本の10代目候補のところに持っていったらしいぞぉ!」
「お前が行って来い」
「任せろぉ!!」
そう言って風のように去っていった。
私の前までやってきたザンザスは私の顎を持ち、無理やり目を合わせるようにした。
「よかったなぁ、跳ね馬が死ななくて」
「ふんっ!」
「それとも何か?一世のほうが気になるか?」
「!?」
「おかしいと思わなかったのか?箱の中身がないことに」
「まさか…」
「中身はここにある」
スッとザンザスの懐から出てきたのは黄ばんだ封筒。
きっとあのボックスの中に入っていたものだろう。
「返して!」
「先回りして良かったぜ。それにしてもお前は不気味な女だぜ」
「どういう…」
「読みたいか?お前のルーツがわかる代物だ」
「…」
「おい、ベル。を監禁しとけ」
「おっけー、ボス」
そのころ、ディーノは唇を噛み締めながら空港にいた。
「なんでが…ザンザスに誘拐されるんだ…一体何が…」
「ボス、今は…」
「分かってる。これをツナの元へ…」
ディーノが持つバッグの中には、ボンゴレリングが入っていた。
2013/11/16