ガッシャン!


グラスが割れた。


悪寒がした。
誰かに睨まれたような感じ。
そして、その人物が誰か感づいた。









…ザンザス…?











La Traviata  14









夏が始まろうとしていた。

体育の時間のサッカーもにとっては簡単なものだった。
来たボールをいとも容易くゴールに放り込む。
黄色い声援も聞き慣れた。



体育後、疲れて寝るものも多い国語の授業。
もウトウトしていた。







〜♪








ぅわおっ!?
誰!?携帯持ってるの!」
「やっべ…!」
くん!?次鳴らしたら没収って言いましたよね!?
すんませ!!








寝ていた生徒もの大声で一斉に起きた。

起きた生徒の中には勿論、ツナも入っていた。








「(くん…どうしたのかな?)」








廊下で電話を受ける
いつもなら受けないのだが、この番号には見覚えがあった。

「CHEDEF(チェデフ)」

も職種柄、関係が深い。
緊急性を要するのか、普段はメールなのに今回は電話だったことにも
胸騒ぎがしてならなかった。







「はい」
『…私よ』
「はっ!新手の詐欺?オレガノ」
『もう、馬鹿にしないで。イタリア語で大丈夫?』
「勿論」
、心して聞いて。…9代目が倒れたの
!?
『昨夜、イタリア国立病院に緊急搬送されたの。命に別状は…』
「…今から帰る」
『ダメよ!貴女は任務中…』
そんなこと聞いて、じっとしてられるわけないでしょ!?
『!』
「ごめん…」
『…4時間後に離陸するフライトを準備するわ。気を付けて』
「ありがと、オレガノ。恩に着る」








電話を切ったあとは舌打ちをした。
数日前のあることが頭を過ぎった。

イタリアのとある離島での人質立てこもり事件。
それを解決したのがヴァリアーだった。
長年ボスが不在だった。


はずだった。



だが、そこにザンザスの姿があったということだった。
ちょうどがグラスを落としたそのとき。
ザンザスが長い眠りから覚めたのだ。







教室に怖い顔で戻った
誰も声をかける者はいなかった。

無言で荷物を詰める。
そのまま教室から出ようとしたが、ふと、ツナの方を見た。







「(ひぃ!!?)」
「ツナ…」
「な、何…?」
「根性決めとけよ」
「…え?」
「9代目が倒れた…」
えぇッ!?(なんか嫌な予感がする…)」
「俺、イタリア帰るわ」
な!?くん!?」
「獄寺も気ィ付けとけよ」
「はん!お前に言われなくても、オレはずっと10代目の傍にいる!!」
「はは!それだったら心配ないな…」
「…」









心配そうに笑うと、は教室から出て行った。









くん…」
「…あいつ、どうしたんですかね?」
「え?」
「なんか…いつものあいつじゃなかった」
「うーん…」








は急いで帰ると荷物をまとめて空港に急いだ。
オレガノが用意してくれた飛行機に乗る。
パソコンを開くと、仕事のメールが多くあったが、見る気にもなれなかった。
イタリアまでの10時間が長くて長くて、死にそうだった。








9代目…











2013/11/11