翌日、は東京の高級ブティック街を歩いていた。
La Traviata 06
「コレとコレ、ちょうだい」
「かしこまりました」
「あ、あとコレも」
各ブティックで新作を見る度に購入していく。
ドンドンと増える紙袋をは一人で持っていた。
「○×プロモーションの者ですけども…」
「…は?」
「モデルの仕事に興味ありませんか!?」
「私、忙しいんで」
「名刺だけでも!!」
「…うっさいな。殺すわよ」
「ヒィッ!」
サングラス越しに背の低い男を睨む。
こんな声かけは珍しくない。
外国人顔だって、サングラスをかけてても分かるはずなのに声をかけてくる。
日本人の男は何かとめんどくさい。
空気を読まない上に、ずっと付きまとってくる。
機嫌が悪いときに来れられると、余計にイライラする。
そんなとき、ふとショーウィンドーに映る女の姿を見た。
サングラスをかけ、短い丈で身体のラインのよくわかるワンピースを着ている。
両手には様々なブランドのバッグがひしめいていた。
それが自分であると分かるまで、数十秒、そのショーウィンドーを見つめていた。
「なにこれ…」
いつも荷物はあいつが持ってくれていた。
っていうか、こんなに買い物したこともなかった。
「なんでこんなに買っちゃったんだろう…」
そう思うと、溜息が出てきた。
「バッカみたい…」
「だれが馬鹿だよ」
「!?」
バッと後ろを振り向くと、そこには呆れ顔のディーノがいた。
私は驚いて買い物をしたバッグを取り落とした。
それを全部拾いながら彼は口を開いた。
「ったく…昨日も怒って帰っちまうし…俺にも弁明くらいさせろよ」
「あんたが悪いんでしょ」
「あれはほんとに悪かった。それに3回目なのも分かってた。」
「だったら…!」
「だから、埋め合わせをするつもりだった。お前が消える前にな」
「…」
「もう、全世界範囲のかくれんぼは止めてくれ」
ヒラヒラと見せられたチケットはリゾート地のホテル予約チケットだった。
「…次やったら…」
「次はねーよ」
そう言ってチュッと私の頬にキスをするディーノ。
急に顔が熱くなるのを感じた私は、照れ隠しに叫んだ。
「ディ、ディーノのせいでいっぱい買っちゃった!全部持って!」
「はは!あぁ。任せろ」
「まだまだいーっぱい買うんだから!」
「わぁーったよ」
ディーノは車で着ていたみたいで、愛車の赤いフェラーリが路上に停まっていた。
「乗れよ、」
「うん」
「ちょっとお兄さん、」
声の聞こえたほうを向くと、警備員のおじさんが立っていた。
「外国人も適用だよ。はい、駐禁」
「う”…」
「何やってんの、ディーノ」
私は呆れ顔で溜息をついたが、それがなんだがいつも通りで笑ってしまった。
※ ※ ※ ※
翌日、はの姿で2日振りくらいに学校に行った。
「おっす、ツナ!」
「あ、くん。久しぶり」
「に会ったって?」
「あ、うん。なんか…」
「10代目ー!!!あの・が日本にいるって本当…ゲッ、…」
「獄寺、朝から元気だなー」
「それより!ですよ!!」
獄寺はについてツナに熱心に語り始めた。
「俺がイタリアにいた頃聞いた話しなんスけど、ボンゴレに姫がいるって話っす」
「姫ぇ!?(あの人、お姫様なんだ…)」
「容姿端麗、IQ170オーバーで何ヶ国語も操り情報を聞き出す。
彼女に狙われたら秘密を話すしかない、男は特に彼女のハニートラップに引っかかる」
「えぇ〜…」
「軽い身のこなしに百発百中の射撃術。しかし誰も、・の素顔を知らない」
「いやー!ってすっげーよな!」
「!!お前にゃ、関係ねーよ!!」
「、俺の従姉だぜ?」
「…はぁ!?」
えっへん、と胸を張るを見て獄寺とツナが驚く。
「くん、さんと従姉同士なの?」
「あぁ!、超綺麗だもんな!」
「それ、素顔かよ!?」
「へ?」
「誰も素顔知らねーんだぜ?」
「獄寺も、の顔見たことないのか」
「ま、まぁな」
「ツナは見たんだじゃね?この前、家行ったってが言ってたぞ」
「あぁ…(暴れて帰っていったけど)」
「本当っすか!10代目!?」
「う、うん…綺麗な人だったよ」
半分の迫力に押され気味ながらもツナは答えた。
「俺、は尊敬してんですよ」
「へ、へぇ…(獄寺くんにも尊敬する人っているんだ…)」
「10代目!今度、に会ったら俺に教えてくださいね!」
「いやいや、ツナに頼むより俺だろ」
「は黙ってろ!」
いつもは獄寺に反発するだったが、今日は普通に接していた。
これも全部、今夜の約束が楽しみでならないからだった。
「(帰ったらディーノとご飯行こーっと!)」
2013/10/25