昼休み、獄寺とツナ、そして山本が屋上にいた。
そこで向かい合うのは転校生の…

そう、オレ!!








La Traviata  02










「ケッ…なんで野球バカまでいんだよ」
「いやー。昼飯食うんだろ?転校生も一緒に」
「俺も一緒に食っていーのか?」
「もちろ…「ダメだ!!」」
「へ?」
「ご、獄寺くん…」
「お前、何だ?」
「俺?俺はだって。さっき言ったじゃん」
「名前じゃねーよ。どこの馬の骨かって聞いてんだよ!」







は柵の上に飛び乗ると、器用にバランスを保ちながらツナたちを見下ろした。
その顔には余裕とも取れる笑みが浮かんでいた。







「おぉ、、あぶねーぞ!?」
「優しいのな、山本は。
 ところで、俺を知らないといったな、獄寺。
 俺はボンゴレ9代目専属のスパイだ。この意味、分かるか?」
!!
「え、どーゆう意味!?」
「やっぱお前は分かんねぇか、10代目候補は」
「ひっ…」
「ここからはオレが説明してやる」

「「「リボーン(さん)!!?」」」
「お、赤ん坊だ♪」







リボーンはの肩に乗り、ニンマリしていた。
前々から知り合いかのように二人は拳を合わせて挨拶をした。








「おい、説明してなかったのか?」
「する暇がなかったんだ」
「それにしても久しぶりだな、リボーン」
「あぁ。本当に久しぶりだ、
「え、二人、知り合いなの!?」
「だから言っただろ、俺は9代目専属スパイだって。」
はボンゴレ一・世界一のスパイだぞ。
 そんなやつ、一人はファミリーにほしいだろ、ツナ」
んなぁあ!?
「ちょっと待て、リボーン。
 俺は9代目に仕えてんだよ。こんなぽけーっとした奴、信用できるか!」








はビシッとツナに人差し指を向けた。
それを見た獄寺の血管がブチッとキレた。







「お前、10代目に失礼だぞ!!
 10代目、こんなやつ、ファミリーにはいりません!」
「いや、オレ、ファミリーとかいらない…」
「あははっ!こいつ、ファミリーいらないとか言ってんぞ、リボーン!?
「欲がねーんだ。それにボスになる気もないらしい。
 ちなみに言うと、戦いとか殺しとか、そーいう類のものは全部嫌いだ。」
…へぇ
「ま!それをオレが鍛え直してんだけどな」
「なんか、おもしろそーじゃん、ボンゴレ10代目。
 俺がお前を信頼出来ると思ったら、いつでも力を貸してやる」
はい!?
「スパイってのはな、敵さんから機密情報を奪うためにいるんだよ。
 つまり、口は堅ぇし、強い!言う事なしだろ!
 ま、俺に信頼されるような奴になるんだな!獄寺も、山本も」
はぁ!?
「はは!俺も信用されてねーんだ♪」







そのとき、タイミングよくチャイムが鳴った。
獄寺はを睨むとそのまま「10代目、行きましょう!」とツナの腕を掴んで行ってしまった。
そのあとを追うようにして山本も屋上からいなくなった。
残ったのはとリボーンだけで、秋の肌寒い風が通り抜けていた。








「あれが10代目ねぇ」
「昔のあいつに似てるだろ?」
「はっ!俺はあいつとはもう絶交したんだ」
「それ聞くの3回目だがな」
なッ!?今度は本気だぜ!?だから何も言わずに日本に来たんだ!」
「じゃああいつは何も知らないのか?」
「あぁ!当たり前だろ?今回の俺は本気だっつーの」








はそう口を尖らせながら言い、銃を撃つ真似をした。








「で、お前、どこに滞在する気だ?」
「ホテル借りた。予想外の長期になりそうだったら部屋借りる」
「さすが金持ちスパイは違うな」
はんッ!俺の依頼料、お前と同じくらい高ぇーぜ」
「だろうな」
「金さえ払ってくれりゃ、ボンゴレ10代目の言う事も聞いてやらぁ」
「お前はツナを信頼するようになる」
「…ん?なんか言ったか?」
「いーや。お前も授業行けよ。中学生だろ」
「は!“今は”な」







それだけ言っても屋上を出た。









※ ※ ※ ※







放課後、はそそくさと学校を後にした。
電車に乗って繁華街へ出る。
そこにそびえ立つ一際大きなホテル。
世界でも有名な高級ホテルだ。
その中へと入っていき、30階を押した。
最上階ではないが、結構なランクの部屋だ。

部屋に入ると、彼は自分の髪を持ち上げた。
ウィッグを外すとそこから綺麗な長い赤毛が腰まで垂れ下がった。
洗面所でコンタクトを外すと綺麗なグリーンの瞳、
制服を脱ぐと、そこからはスラッとした長い脚が見えた。
シャワーを浴びたあと、その人物はキッチンに行き、備え付けの冷蔵庫から缶ビールを出した。
プシュッという音と共に泡が零れそうになる。
それを防ごうと、一気に半分くらいグビグビ飲んだ。








ぷはーッ!やっぱ男装って疲れるーッ!!
 しかも中学生とか、やってらんないわ!」









はイタリアから遠く離れた日本に上陸した。

















2013/10/21