最近、俺は立て続けに任務に行っていた。
ホームに一時帰還することなく、一か月ほど、ホームに帰らなかった。

多分、そのせいなんだ。









俺以外見るな











久しぶりにホームに帰ったときだ。
やっとあいつに触れられると思った。
あの優しい笑顔を見つめられると思った。

少し、傷を負ったので、俺は医療班のところに強制的に連れて行かれることになったんだ。
別に少しだからいい、って言ったんだ。
そのとき、ふと談話室の横を通った。

その時見えたんだ。

あいつが…
が、
ラビと楽しそうに笑っているところを。

俺の周りの時が一瞬止まったような気がした。
談話室を覗き、立ち止まる俺に全然気づかないで、
ラビにあの優しい笑顔を見せている
リラックスして、クッションなんか抱えて。

次の瞬間、俺の足は談話室へ向いていた。








「あ、ユウ!帰って…」
「来い」
「へ?あ、ちょっと…!ラビ、またね!」
「はいさ〜」








俺は無我夢中だった。
どれだけの力での手首を掴んでいたのか分からない。
でも、を部屋に強引に連れ込んだとき、ようやくそれに気付いた。
が少し驚いた目で俺を見て、手首をさすっていたからだ。








「ちょっと…どうしたの?ユウ…」
「…」
きゃっ!?








それでも俺は頭に血が昇っていたのか、
そのままをベッドに押し倒した。
両手首を押さえる。
も力が強いが、俺に勝てるわけがない。








「ユウ!?ど、うしたの?」







は俺の身体を見た。
任務から帰って来て、治療を受けてなかったから、包帯に血が滲んでいる。
それを見て、また目を見開いた。








「ユウ!怪我してるじゃない!」
「…それどころじゃねーよ…」
「は!?」
「…んでだよ…」
「ぇ?」
…なんで、あいつといんだよ!
「…ユウ?」







イラついていた。
普段の俺なら我慢できる範囲のことだ。
あいつも他の団員とくらい話はする。
でも、あの時の俺は異常なほどにを求めていた。
だから、我慢できなかったんだ。

それに気付いた俺は、ふと力が抜けた。
を拘束していた両手を放し、から離れ、ベッドに腰掛けた。
両手首を摩りながら起き上がるを見て、俺はため息をついた。

何をやってたんだ…俺は…







「ねぇ、ユウ…?」
「すまん。今は出て行ってくれ」
「…ぇ?」
「ちょっと気が立ってたんだ」
「…私がラビと喋ってたから?」
「…!」
「ごめんね…」









そういって、は俺を包み込むように後ろから抱きしめてくれた。
求めていたぬくもりが、
匂いが、
優しさが、
俺を包み込んでくれた。

そして、は後ろから俺の頬にキスをした。
いつもは俺からしかしない。
されるのは性に合わない。
でもこのときに限っては、とても心地良かった。








「…嫌なことあった?」
「別に…」
「うそ。ユウ、怒ってるもん」
「…」
「ラビと私が話してるのそんなに嫌だった?」
「…」
「ごめん…」
「…俺が…」
「え?」
「俺が帰って来たときに最初にお前が見たかった」
「うん…」
「最初にお前を抱きしめる…これからは…」
「うん」
「だから…俺以外見るな」









俺以外の男と話してるは見たくない
俺以外の男に笑顔を向けているは見たくない

の全ては俺のものだ
俺以外を見るなんて


絶対に…




許さないから




お前は俺のものだと決まっているんだ





2012/08/25