ズンズンと暗い森の中を進んでいく。
後ろではリナリーにこのようになった経緯を説明するアレンとラビがいた。





twilight



13   アレイスター・クロウリー








【三人とも気をつけてね。
 その…吸血鬼の人に噛まれると吸血鬼になっちゃうらしいから…
 ならないでね!!】
「「うん…(吸血鬼の話信じてるんだ、リナリー…)」」








ドーンと現れたのはなんとも趣味の悪い門。







「うっわ、趣味わるーい
「「ご、ごもっとも…」」

「さぁ 前へ!








村長達に催促されても足を前に出そうとしないラビとアレン。
そんな二人の間に無理矢理割り込み、二人の肩を抱いた。







「ダイジョブダイジョブ!死ぬわけじゃないんだし
「いやいや、…それは…」
「さー、行こう!」








クロウリー城の庭には、これまた趣味の悪い置物が所狭しと並べられ、
空気もひんやりと湿っていて、気持ち悪かった。








「「「」」」
「どうしました?」
「何か、いる…」
「近づいてくる」








一瞬、甘い香りがした。
その瞬間に聞こえる叫び声。
後ろには村人のフランツさんの首に噛み付く、アレイスター・クロウリーの姿があった。











「マジか…」









じゅるじゅるじゅる…

そんな血の啜る音が周囲に響き渡り、村人は一目散に逃げてしまった。
私は八凛を起動させると、村人の周囲を取り囲むように風を吹かせた。








「その中にいれば大丈夫だから」
「へ!?」
「結界。それ、私にしか出来ない裏技なんだからねー。」
「しゅ、修道女様…!!」
「もう、その呼び方止めてよ…」
!!後ろ!!
!?









ラビの声で後ろを振り向いたとき、クロウリーが私のほうに向かってきていた。
間一髪、八凛の突風で、彼の追いやると、空高く飛び上がった。











「ったく…女性の背後を取ろうとするなんて、なってないわね」
「空に逃げるなんぞ、戦いがなってないな」
「そんな上ばっかり見てていいの?」
「!?」









クロウリーを捕まえたアレンの左手。
それを見た私は、トンとラビの横に降り立った。








、ちゃんと周り見とかねぇと」
「見てたわよ。気付いてたし、あのまま来たらそのままグサッと…」







それと同時のガブッとアレンの指をクロウリーが噛んだ。
対アクマ武器を歯で噛み付くのを見たのは初めてだった。
ラビは叫び、私は絶句した。
クロウリーはアレンの血を吸ったが、まずかったのか、そのまま城へと逃げ帰ってしまった。
その場に残された私とラビは指の腫れ上がったアレンを見て、苦笑いを浮かべた。


そのあと、城の中へと入る私たち。
村長たちは私の作った結界の中から動こうとはしなかった。


あれ、あと数分くらいしか持たないんだけど、ま、いっか!


そんなことを思いつつ、薄暗い城の中をずんずんと進んでいった。








「まったく、なんでエクソシストが吸血鬼退治なんかやってるんさー」
「でも何かおかしくないですか?」
「何が?」
「この吸血鬼事件と師匠と何の関係があるんだろう…
 師匠は一体何をしにここへ…」
「まぁ、クロス元帥は無駄なことはしないからねー」
「よく考えると僕らに吸血鬼退治させるためにあんな伝言残すなんてちょっと変ですよ」








ふと香る甘い香り。
ドタっとラビが倒れ、眠り込んだ。
私も、気付いたときにはもう、遅く、瞼が落ちた。





ドンドンと激しい爆発音と、誰かが私の名前を叫ぶ。









さん!!ラビ!!起きてください!!さん!!」
「ふぁ…」
「ほえ…?」
こら、そこの人間共ー!!
 何してる!!この子たちはアレイスター様の大事な花よ!!」


「…使用人?」
「エクソシストか…
 ん?何か熱い視線を感じる…」








ラビの目はハートになり、キラキラと熱い視線を使用人に送り続けていた。









「ラビー!!おーい!!」
「可愛い子ね。どう?私の恋人になる?」
「マジ…!?」
「聞けぇ!!!」
「何すんさー…」
「何あんなのに興奮してんですか!!さんも何か言ってください!!」
「…さいってい…」
ー!!!ごめんさぁ!!」
「いや。私に謝られてもねぇ」








私はラビを見下すと、そのまま八凛を発動させる準備をした。









「私はアレイスター様の助手のエリアーデ。
 あんた達ここに何しに来たワケ?」
「吸血鬼退治!」
「男爵に連れ去られた村人を探してるんです!」
「村人ぉ?」
「アレン、あれ、見て」
「え…?」
「あぁ、これ?今から埋めに行くとこだけどぉ?欲しいなら、あげるわ」








ポイっとゴミのように投げられた村人。
無残にも食人植物に食べられてしまった。

次の瞬間、食人植物が何かの模様に侵食されたかと思うと、そのまま光を放ち、爆発した。























2013/08/24