「モヤシ!!なんでアクマを庇いやがった!!!」






ユウの怒声が地下に響き渡った。





twilight


05 歌声







「神田、僕にはアクマを見分けられる「目」があるんです。この人はアクマじゃない!」
「!?」
「じゃあ一体アクマは…」







するとアレンは偽アレンの顔を剥いだ。
そこにはトマが…







「そっちのトマがアクマだ、神田!!!」









その瞬間、ユウはアクマに殴られ、壁を突き破った。







「ユウ!!?」







私は急いで後を追った。
そして、アクマとユウの間に割って入った。対アクマ武器を広げて。
しかし、発動が少し遅かった。
武器と私はアクマに深く切られてしまった。








!!??」
「ひゃはっ!?違うの切っちゃった。まぁ、いいか」
「ユウは…私が…まも…」
「死んじゃったw次はお前!」









私は倒れた。治りが遅いせいか、気を失ってしまった。
ユウとタッグを組むことは少ないが、いつも気に留めていることがあった。

ユウは私が守る

私はいつ死んでもいい。
もう悔いはないから。
でもユウには探すべき人がいる。
私はユウに後悔してほしくないし、もう苦しい思いをしてほしくない。
だから私はユウの願いが叶うまでユウを守り続ける。
たとえ私の命が先に朽ちようとも…








気づけばベッドの上にいた。
隣では不機嫌そうなユウの声が聞こえる。
たぶん、コムイと話をしているのだろう。







〈で、ちゃんは?〉
「まだ、だ」
〈君より遅いね…〉
「…黙れ」
「…ユウ」
…起きたか?」
「…よかった。まだ死んでないね」
「バカが」
「何よぉ…傷、浅くて済んだんだね」








私はユウの傷のない身体を見て微笑んだ。
そして起き上がり、自分の身体に巻きつけられた包帯を取った。
トマは顔を赤くして下に背けた。







「早く服着ろって」
「ブラウス取って」
ちゃん?どう?イタリアは〉
「私の身体よりイタリアのほうが大事なのね、コムイ」
〈違うよ〜!!もう、二人とも冷たいんだからぁ〉
「ま、私は大丈夫。」








すると驚いたようにドクターが部屋に入ってきた。
私たちはもう発つ用意をしていた。








「ちょっとちょっと何してんだい!?」
「帰る。金はそこに請求してくれ」
「ダメダメ!あなた、全治五か月!あなたなんか全治8か月!重症患者!」
「「治った」」
「そんなわけないでしょ!」







そしてユウは取った包帯をドクターに押し付けた。






「世話になった」
「そ、そんなバカな…傷が消えてる…」







私たちは病院の外にでた。
まだ電話はコムイにつながっているようだ。








〈今回のけがは時間かかったね。神田くんもちゃんも〉
「でも治ったわ」
〈でも時間がかかってきたってことはガタが来始めてるってことだ。
 計り間違えちゃいけないよ。君たちの命の残量をね…〉


「で。何の用だ?イタ電なら切るぞ コラ」
〈ぎゃー!!ちょっとリーバーくん聞いた!?今の辛辣な言葉!!〉
「もう切っちゃえ」
「わー!わー!違いますぅー!次の任務の話ですぅー」







アレンの元に行く途中、私たちは次の任務の話を聞いた。
フランスのプロヴァンスでの任務の後、ロレーヌ地方までは行動を共にし、そこからユウはロシアへ向かう。
これからは長期任務になるだろうということだった。
回収したイノセンスはアレンとトマがホームへ持って帰ることになる。







「ねぇ、ユウ…」
「…なんだ」
「私って何だと思う?」
「…」
「…もう疲れたよ」
「……」







私は両手を挙げ、身体いっぱいに地中海の太陽を浴びた。







「なんてね!」
「…は?」
「まだまだやることあるんだから死ねないよね」
「これからも任務だし。次の任務はフランス、そのあとユウはロシア。
 また離れちゃうけど。いつか会えるでしょ?それまでお互い生きていよう」







その後、私たちはアレン、トマと別れ、反対方向の汽車に乗った。









2012/08/20