「なんかふっるい教会ね…建て直せばいいのに」





フードを来た女は帰りの途中に寄った町にあった古い教会。
彼女の目に留まったのはその教会の隣にある民家だった。







twilight


02  堕天使







「ま、関係ないか」







彼女がその教会の前から去ろうとしたとき、
大きな銃声音と共に、少年が女性警官を抱えて教会から出てきた。







「…少年、何してるの?」
「え?」
「あ、警官を拉致ってるのかー。結構勇気あるね」
「ち、違いますよ!!今、アクマが…」
「…」
「あ、いや。こっちの話です」
「へー。アクマのこと、知ってるんだ、少年」
「え…」
「私は。覚えてて損はないと思う」
「は、はぁ…」







と名乗った女は少年の隣に寄り添う猫を撫でた。







「もしかして…ティム?」
「え?すみませんが、ティムのこと知ってるんですか!?」
「また食べられちゃったの?さっさと吐き出してもらいなよ」







彼女は少年の質問に何も答えず、ひとしきり猫を撫でたあと、
少年の顔を見て笑顔を向けた。








「じゃ!」
「えぇ!?」
「さっさとその人届けてきなさいよ。
 顔も見たことない新人エクソシスト君、それ届けたら本部に来るんでしょ?」
「も、もももしかしてあなたもエクソシストですか!?」
「あはは、少年はおもしろいなぁ。白髪なのに若いし。警官拉致ってるし。」
「だから拉致ってませんから!」
「またね」







彼女は扇を取り出すと、バサッと広げた。
大きさは1mは超えるだろうか、人ひとり以上は悠々と乗れる大きさの大きな扇だった。
彼女はその扇に飛び乗ると、そのまま宙へ浮いていった。







「じゃあね、少年♪」
「あ、ちょっと!!」








私はそのまま本部へ飛んで行った。

本部までは半日かかった。
別に本人の体力が消耗するわけではないが、精神力は消耗する。
本部に着いたときにはもうヘトヘトに疲れていた。








ちゃーん!おっかえりー!なんで返事してくれなかったのかなぁ?」
「コムイ、うるさい、邪魔。」
「う…三連発…」
「これから一日は寝るから誰も部屋に寄越さないで」
「八凛(エイリン)は?」
「大丈夫。損傷してないから」







コムイに手を振って私は指令室を出た。
そのまま私は自室に閉じこもった。
私の自室にはシャワーが付いている広い部屋だった。
これは私だけの特別な部屋だった。
他の部屋にはシャワーは付いてないからだ。
私はシャワーを浴びたあと、死んだように眠った。
起きてきたのは一日後で、寝ぼけ眼でそのまま食堂へと足を運ぶ。








「あーら!!帰って来てたのねー!」
「ジュリー、いつもの」
「あいよー!中華風粥セットね」
「うん」







あつあつの中華粥を口に入れながらも私の頭はまだ寝ていた。







「あ、おーい!
「…」
!!起きろ!」
「へ?あ、リーバー班長。久しぶりだね」
「ま、一週間ぶりだな。室長が泣いてたぞ。が報告書出さないから」
「だって昨日?帰って来たばっかだし」
「いや、一昨日な」
「これ食べたらコムイのところ行って書くからって言っといてー」
「あぁ。ま、お疲れ」
「うん、リーバー班長も」







私はリーバーの顔を見ずに手だけ振った。

食事を終えたあと、私はそのまま自室には戻らず室長室へと向かった。
しかし、そのとき科学班は騒然としていた。
本部の建つ岩壁をよじ登る人間の姿を見えたそうだ。







「なんだい この子は!?
 ダメだよ。部外者いれちゃあ〜〜〜」
「あ、室長。それが微妙に部外者っぽくねーんスよね」
「ここ見て、兄さん。この子、クロス元帥のゴーレム連れてるのよ」

「あ…」

「ん?あ、ちゃん。この子、知ってるの?」
「んー。知らない」
「じゃあ部外者だね。さー、落とそう♪」




〈すいませーん。クロス・マリアン神父の紹介で来たアレン・ウォーカーです。
 教団の幹部の方に謁見したいのですが〉





「紹介って言ってますけど室長、何か聞いてます?」
「……知らない」
「後ろの門番の身体検査受けて」







その様子をズズーっとお茶を飲みながら、見ているコムイ。
私は頭を書いて科学班室を出ようとした。






ちゃーん、どこ行くの?」
「え?いや…お取込み中みたいだから」
「いやぁ。僕は全然、ちゃんの報告書作成に付き合うよ!」
「…はぁ」







私が机に向かってペンをとった瞬間、門番の声が教団内に響き渡った。








〈こいつアウトォォォオオオ!!!〉








「へ!?」

〈こいつバグだ!額のペンタクルに呪われてやがる!アウトだアウト!
 千年伯爵の仲間だー!!〉
「なにぃーーーー!?」







ビックリしすぎて紙の上でペンの先が折れた。
コムイはお茶を吹き出し、リーバーたちは腰を抜かした。
その場で冷静だったのはリナリーだけだった。







「わ!わ!わ!ちゃん!行って!」
「えー」
「大丈夫。もう神田が着いたわ」
「あ、ユウ帰って来てたんだ。じゃ、私も行く!」
「へ?」
「だって楽しそうだし」







しかし、私が着いたときには、アレンは神田の刀と壁の間に挟まれていた。







「あら?もう終わった?」
「…か」
さん!!いるんじゃないですか!!」
「…知り合いか?
「うーん。でも私、少年の名前知らないから、知り合いじゃないと思う」
「んなーーーッ!!??いや、それ無責任すぎません!?」
「そう?」
「やっぱりお前、アクマか」
「いやいや!クロス師匠から紹介状が送られてるはずです!コムイって人宛てに」








科学班が急いでクロス元帥の紹介状を探している間、はアレンの横に付いていたティムを呼び寄せた。








「あら、ティム。久しぶりね。ちゃんと猫のお腹から出られたのね」
「♪」
「ずいぶん小っちゃくなっちゃって。ほら、ビタよ。覚えてる?」





金色のゴーレムと銀色のゴーレムは仲良さそうに絡まりあった。






「ふふ…やっぱり仲良しね」






そうしているうちにリナリーが出てきて、アレンと神田に中へ入るよう促していた。







「ほら、も早く。門、閉めちゃうわよ」
「あ、うん。」











2012/08/20