THANKS FOR CLAP!  
   


D.Gray-man神田夢@


俺はまたあいつを怒らせた。
理由なんて分からん。
気付いたら無視してきやがる。
本当に女ってのはめんどくさいやつだ。

今日も、あいつが任務から帰ってきたから部屋に行ったんだ。
いるはずなのにノックしても返事さえして来ねぇ。
我慢の限界に達した俺は、あいつの部屋に入ったんだ。


「おい、入るぞ!!いい加減に…」

すると、泣いてたんだ。
俺は一瞬、思考が止まったみたいにその場に立ち尽くした。
あいつが泣いてるところなんて、いつから見てないかわからなかった。
それほど長い間、あいつは俺の前では涙をみせなかった。
普段から負けず嫌いで、人に弱みを見せない性格だったが、
俺の前でもこんな姿を見せなかったのか、と少しイライラした。
俺にだけは全部打ち明けてくれてると思ってたから…

「ユウ…」
「何してんだよ…」
「…」
「俺と話したくないか…」
「…違うの」
「じゃあなんでシカトする」



すると、あいつは急に俺に抱き付いてきた。
あいつを抱きしめるのは嫌いじゃない。
壊さないように…
でもあいつが安心するくらい、ギュッと抱きしめるんだ。



「…私、求めすぎてるかな?」
「は?」
「仲間がいて、帰る場所があって、好きな人がいて…」
「…」
「それだけで満足しなきゃいけないはずなのに…」
「…」
「ずっとみんなと一緒にいたいって…死にたくないって…思っちゃうの…」





今、俺の腕の中にいる女は、
俺と同じように生まれた。
だから俺と同じ思考だと思ってた。
たぶん、今も一緒だ。
俺も生きたいと思うときがある。
ずっとこいつと一緒にいたいと、思うときがある。
だから、俺はあいつを抱きしめる。
いつ死ぬかわからないこの世界で
できるだけあいつの温もりを感じていたい。





  skin by spica