近くには檜佐木、乱菊、雛森が倒れ、吉良がこちらを見ていた。









紅蓮の愛


34. 特別隊隊長












「ふ…情けない…」
「も、申し訳…っ!」
「謝る暇があればさっさと治療を続けろ、阿呆が
「…は、はっ!」
「烈志!おぬしは檜佐木の治療を」
「はっ!」

「…桐生くん、治癒系…使えるの?」
「はっ!何言ってんだ吉良、俺は特隊副隊長だぜ?見よう見まねでできるっつーの
「…え…」









私は目前にある気味の悪い怪物を睨んだ。
怪物は不気味な雄叫びを上げ、肥大した右腕を私に向けた。
しかし、その右腕が私に当たることはなく、地面へと落ちていった。
同時に怪物は真っ二つに割れた。









は、早い…!
「あんなの、今の隊長には止まって見えんだよ」
「え…」










私は後ろで、倒れる怪物に呟いた。









「…まだ動くか。
 貴様のような獣を何度も切るのはおもろうない…」
ぐあぁぁあああああ!!!
「おもろうないものは…さっさと逝ね」











次の瞬間には、怪物は、いくつもの四角い肉片となり、地面へと落ちた。










「…吉良、まだ終わっとらん。
 烈志、結界を強く張れ」
「はっ!」









上から降ってくる膨大な霊圧を兼ね備えた三体の破面に私はニヤリと笑みを向けた。










「その意気だ、破面よ…!
 第八の舞 阿修羅










黒煙が三体を包んだ。その直後、断末魔の叫び声と共に、3体の霊圧は完全に消滅した。









「ふふふ…苦しむが良い…
 阿修羅の煙はこの世のものとは思えぬ苦痛を生むのだ」









※   ※   ※








私は刀を鞘に収めると、烈志の横に下りた。








「隊長!」
「どうだ、様子は」
「檜佐木はどうにか…雛森と松本が重症です」
「…今の空気では治るものも治らん。出来れば現世に…」
「どういう…」
「む?それは…」










ガッシャーン!!!










私は不意を突かれたようにビルに叩きつけられた。











「貴様は…」
「敵を、討たせてもらう」










2016/2/9