「…隊長?大丈夫ですか?隊長!!」
烈志の声で私は現実に戻って来た。
紅蓮の愛
32. いざ、決戦へ
「大丈夫ですか…?」
「長々と話しすぎた。そろそろ寝よう…」
「隊長…」
「あと数時間もすれば決戦だ。大事な時に居眠りなんかされたらたまったもんじゃない」
失笑し、私は自室の襖を開けた。
「烈志…」
「はい」
「…こんな私を、哀れに思うか?」
「…いいえ。隊長は、強いお方です」
「ふふ…私はいい部下を持った」
襖を閉め、床の間に飾っていた鈴神楽を手に取った。
鞘から出すと、研いだばかりを思わせるような光を放つ刃が現れた。
『…主の覚悟をしかと受け取った』
「あぁ…鈴よ。私はもう迷わぬ」
『あやつが現れてもか?』
「…勿論だ。私の知るあやつは死んだ。それは変わらぬ」
※ ※ ※
空座町上空、時間にして午後零時12分。
「…来る」
「隊長…」
程なくして禍々しい霊圧と共に空が割れ、藍染たちが現れた。
「誰が一番強いかな?十刃の3人の中で」
「難しいな…藍染に聞いてみないことには…」
「問題は十刃との戦闘中に藍染が手を出さない保証は無え・ってことだ」
「…ですね」
「皆 退がっておれ
万象一切 灰燼と為せ 流刃若火」
総隊長の一撃で藍染たちが炎に包まれた。
「“城郭炎上”これで暫くは藍染たちもこの炎の壁から出られまい。
さて、ゆるりと潰して征こうかの」
「…手荒いな…総隊長…」
「それだけ山じいもご機嫌ナナメってことじゃないの」
「…すごいですね、総隊長…」
「ふふふ…総隊長があそこまで怒ったのは見たことがない」
「隊長!?笑ってる場合ですか!」
「ふふふ…では私も、最期の戦いといこうか…のぉ?鈴神楽」
私は柄にスッと手を伸ばした。
ゾクリとした悪寒が背中を伝う。
私はスッと刀を抜き、高く振り上げた。
「響け…鈴神楽…
禁忌の舞…黒」
2016/2/9