ドゴーン!

スゴーン!!

ドッカーン!!!









紅蓮の愛


26. 声







浦原商店の秘密の地下室では日夜けたたましい爆発音が木霊していた。
勿論、そんなこと、普通の住人は知る由もない。
しかし、私には感じる。
少し家が揺れたり、カタカタ言ったりするのだ。
夜中の2時。
今夜もそんな揺れで目覚めてしまった。
少し様子を見に行こうと羽織を来て地下室に下りた。









わおっ!








地下室に下り、岩の影から様子を覗いた瞬間、私のいる場所に大きな岩の塊が降ってきた。
スッと避け、喜助の横に着地する。








「おっ!サン。おはよーございます?
「まだ夜中の2時だ。馬鹿者」
「そーっスよね!アタシの体内時計がまだ朝って言ってなかったっスからぁ」
「戯言はそのへんにして…どうだ?様子は」
「まぁまぁっスかねぇ。
 阿散井サンに関しては経験を積んでもらうしかないっスから」
「だから私が相手をしてやろうと…」
「イヤイヤ!サン、手加減ってのを知らないっスから…こんなときに重症でも負ったら…」
「あ?」
「いえ、何にも!
 ところで、あっちの準備はどーっスか?」
「ん?あぁ…尸魂界か?
 涅が指揮を取ってやっておる。心配はないだろう」
「まぁ、元々心配なんてしてませんケド」
「なら聞くな」










鍛錬をする日々が続いていたある日、またあの感覚が襲った。




破面…十刃






その日も浦原商店の地下室の様子を見ていた私はコキコキと首を鳴らした。









「だーっめだっつってんだろ!!
 てめーは力を使いすぎてんだよ!!
 俺が行くからてめーは休んでろ!!」
「し…しかし…!」

「そっスね…阿散井サンの言うとおりっス
 しかし…阿散井サンも消耗しているのは同じこと。
 お二人共、ここで休んでいてください。
 代わりに…アタシとサンが出ます」
「うむ」
「で、でも!!」
「恋次、貴様が行くと邪魔なのだ。ここで待ってろ」
「なっ!たいちょ…」
「心配せずとも喜助は貴様より強い











※   ※   ※









ガキーンッ








刀同士のぶつかる音が空に木霊した。









!?
「グリムジョー…ジャガージャック…といったか?」
「はんッ!全く、元気なババァだぜ…ッ!」
「ババァとは…全く、口の悪い若造だ」









そう言って素早くグリムジョーの背後に回り込み、背に大きな傷跡を付けた。









「堅いな…それにしても、左腕はどうした?」
「(…早い…ッ)」
「私が早いのではない。貴様の動きが鈍っておるのだ。」









最初の一護との戦いで血を多く流していたグリムジョーは既に息が上がっていた。
私は意味深な笑みを浮かべ、刀から滴る血を拭った。









「破面も人と同じように血を流すか…これで終いだ、グリムジョー…」








次の瞬間、ポタッと何かが地面に落ちた。
それが自分から流れ出ていると分かるのにそう時間はかからなかった。
痛みが脳を突き、その場で膝を付いた。








「ハンッ…お前の刀はもうボロボロなんだよ、ババァ…」
ッ…!?
「じゃあな…」








グリムジョーが私の頭を鷲掴みにした。
その手のひらにドンドン力が溜まって行くのを感じた。
直接、セロを打たれては私もどうすることもできない。
地面に転がった鈴神楽を見た。
今までなんともなかったのに、刃が欠け、ボロボロだった。

何もできず、ここで死ぬのか…

そう思った時だった。
ドンッという大きな音とともに頭の圧迫感がなくなった。








「ホンマは死神の戦いに手ェ出すんはいややねんけどなァ…」







そんな声が聞こえたと思った。
その瞬間、私の意識はなくなった。



















2014/06/08