隊長〜〜〜ッ!!!





ドタドタドタッと廊下を走る音の後に、
バンッと襖の開く音が聞こえた。







紅蓮の愛



18  現世へ








隊長!俺です!
「烈志か?名を言え、名を」
「あ、すいません!あの、隊長、現世に行くんですか!?」
「は?」
「いや!阿近に聞きましたよ!?現世部隊に選ばれたんでしょ!?
「あぁ…なんかそういう話になってたな」









私は筆を置き、宙を見て答えた。
そんな仕事があるとは聞いていたが、まだ行くと答えたわけではなかった。








「もう私が行くことになったのか?」
「阿近がもう張り切って隊長の義骸に制服着せてましたよ!?」
「…制服?」
あの黒崎という旅禍のところ行くんだったら制服だーッて言ってました」
「そうか…じゃ、あとは任せた!」
「は…えぇッ!?」
「私が行けば誰がここを仕切る?お前に任せた!」
「いやいやいや!!隊長!?
「じゃ!」
はぁ!?








それだけ言うと私は瞬歩で執務室から消えた。







「なんか隊長…丸くなった?」








そう思った烈志はふとの執務机を見た。
今までに見たことないほどの書類の山が連なっていた。








んなぁぁぁああぁぁああッ!!??









***









執務室を抜け出しては街に出ていた。
副官を連れずに出歩くことはほとんどしないため、少し新鮮に感じる。
すると、ちょうど団子屋の袋を下げた阿近と出会った。








「あ、隊長。お久しぶりっす」
「久しぶりだな、阿近」
「明日、現世行くんすよね?ちゃんと義骸、点検しときましたから」
「すまんな」
「いえいえ…」
「ん?どうした?」
「局長…いや、元局長に会うんですよね?」
「…さぁな。それが仕事なら、会うだろうな」
「…」
「おぬしが気にすることではなかろう?」
「いや、まぁ…そうなんですけど」
「すまんな」
「え?」
「おぬしには冷たく当たった時期があった」
「…そんな大昔のこと、忘れました」
「…そうか」








スッと前を見ると、阿近が団子を差し出していた。
私はそれを、何も考えずに受け取った。







「あげます。ほんとはそれ、リンのやつにやろうと思ってたんですけど」
「…」
隊長、団子好きだったでしょ?」








それだけ言うと阿近は背を向けて歩き出した。








「ま、明日、義骸取りに来て下さいよ〜」
「あ、あぁ…」








***









翌日、技術開発局の入口には私以外に、
日番谷、乱菊、斑目、綾瀬川、恋次、そしてルキアがいた。






「…えらいメンツだな…」
隊長からそんな言葉聞くとは思ってませんでした…」







冬獅郎がため息交じりで言った。
それ以外の5人はワーワー、ギャーギャー煩かった。
すると痺れを切らした阿近が一喝を入れた。








静かにしろォ!!!!

「「「「「…」」」」」

ゴホンッ…えー。いいですか、隊長、副隊長方、そして隊士」
「むっ!?その言い方は…!」
「義骸の左胸に限定霊印を押してます。使用するには許可がいるのはご存じですね。
 使わないことを願いますが、もし、使用する場合は連絡お願いします。
 通常は80%、特別隊隊長のみ90%の霊力がカットされますので、ご注意ください。
 その他、質問ありますか?ないですか?はい、ないですね。では…」

「ちょ、ちょっと待った!阿近!」
「なんですか、六番隊副隊長さん」
「(ムカッ)向こうで寝起きするんだろ?場所とかあんのか?」
あるわけないでしょ。自分で探してくださいよ」
はぁッ!?
「技術開発局はそこまでサポートできません。では…」








その瞬間、閃界門が開いた。
私たちは一人一匹、地獄蝶を付けた。







「何かあれば、その電霊神機で連絡ください。
 使い方は分かってますよね」
「う…」
「どうかしました?隊長」
「いや…あの…私は機械が苦手で…」
「そんな甘えは通用しませんよ、慣れてください
なッ!ちょっと阿近、最近、私にキツくないk…」
「もう皆さん、行ってますよ」
はぁ!?ちょっと私を置いていくな!」








そんなこんなで、私たちは現世へ赴いた。
新たなる決戦に備えて…












2012/09/23