「浮竹!!」
!無事か!?」
「よう、この色男…ずいぶん待たせてくれるじゃないの」







紅蓮の愛



12 最終闘志










「すまん、解放に手間取った」
「も〜、ちゃんが山じぃと世間話してなかったら間に合ってなかったよ〜」
「ほれ、さっさと破壊せんか!
「いや〜、怒ったちゃんもかわいいけど。ここはいっちょ、男を見せるかぁ!」








浮竹と京楽のおかげで双極は破壊された。
そして一護が磔架を破壊した。
その行動は状況を変えるのには遅すぎ、時としては一瞬だった。
多くの副隊長が一護に倒された。
あの雀部一番隊副隊長でさえ、一護に張り倒された。
特別隊隊長・九番隊隊長・十三番隊隊長は双極を破壊したあと、逃げる準備をしてた。


しかし、そのあと、私たち3人の前に
総隊長がゆるりとやってきた。







「動くな」
「元柳斎殿…!」
「罪人を連れて逃げたのは副隊長。斬って挿げ替えれば替えは利く。
 後でゆるりと捉えよう。じゃが…
 儂が許せんのはおぬしらじゃ。
 おぬしらは隊長としてしてはならん事をした。
 それがどういう事か、分からんおぬしらじゃなかろう」

よォし、仕方ない!!
 それじゃ いっちょ逃げるとしようかちゃん、浮竹ェ!









そういって京楽は私を抱きかかえ、浮竹を掴んで、下へ降りた。








「おい、京楽!!はなせ!」
「待ってくれ京楽!まだ俺の部下が!」
「落ち着け。あんな処で山じいと戦ってみろ。
 それこそ皆、巻き込まれて死んじまう。
 さ、ちゃんは行ってくれよ。」
「!!」
「気付いてるんだろ?」
「すまん、京楽、浮竹」
「い〜え〜。山じいは僕らが止めとくから」









私は京楽から離れると、瞬歩であるところへ向かった。
もう場所の算段は付いていた。


場所は、清浄塔居林…
四十六室の為の居住区。


瞬歩で着いた瞬間、日番谷の大紅蓮氷輪丸の霊圧が消えた。
私は急いで、塔の中に入った。
そこは氷漬けにされていて、吐く息が白くなる。
その先には、市丸と藍染、その奥には十番隊隊長が無惨にも斬られ、倒れていた。






「この時期に見る氷も悪くない」

冬獅郎…ッ!!

「あぁ…これはこれは…特別隊までやってきたか」
「すんません。あの子は始末したんですけど」
「まぁ、いい。彼女にはいてもらわないと」
「…葵と椿はどうした。藍染!市丸!!」
「彼女たちなら、雛森くんの隣で横になっているよ。
 息をしているかは定かではないが、まぁ、そこは勘弁してくれ。
 何せ、加減が難しいんでね。
 特に真田葵くんにはてこずった。」
「どういう意味だ…?」
「彼女は私が死ぬ前に始末しなければならなかった。もちろんそうしたが…」
「待て。私は貴様が死んでから葵に…」
「それが真田葵くんだと誰が言った?私の斬魄刀の能力も知らずに…」
!?








すると、藍染は刀を抜いた。
私も自分の刀の柄を掴んだ。
しかし、次の瞬間、私は目を疑った。
何故なら藍染が葵を掴んでいたからだ。
奥で倒れているはずの葵を、何故一瞬にして…









「私の斬魄刀の能力は完全催眠…」
「…!」
「君のその洞察力でも見抜くことはできまい」
「何…!?」
「それにしても、君の深い洞察力と思慮深さは昔の平子隊長を思い出すよ」
「!!」
「あぁ…忘れていた。君は平子隊長の奥方になる予定だったから、彼の名は禁句だったかな」
藍染!!貴様…!
「おっと。そこまでやで、チャン」








私が斬魄刀を抜こうとした瞬間、市丸が私を押さえた。
さすがに男の力には敵わない。

すると、烈志が少し遅れてやってきた。





隊長!!?
「…今日は客が多いね。」






すると、私の目の前で烈志が藍染に斬られた。
烈志が遅いわけではない。
藍染が早すぎるのだ。
烈志が弱いわけではない。
藍染が強すぎるのだ。

特隊副隊長・隊長までも歯が立たないほど、
藍染は強かった。







烈志ッ!!??
「すんません。ボク、手が放せませんで…」
「いいよ。隊長を捕らえておいてくれ。」


「…やはり此処でしたか。藍染隊長…
 いえ、最早『隊長』と呼ぶべきではないのでしょうね。
 大逆の罪人・藍染惣右介」

「どうも。卯ノ花隊長」

「今すぐ隊長を解放しなさい」
「…それは無理な願いだ。なんせ、彼女は知らなければならない」






すると、市丸は布を取り出し、私、藍染を包みだした。
恐らく、空間移動の鬼道。
私は双極の丘に連れて行かれた。









***








藍染たちが消えたあとの清浄塔居林。
卯ノ花が刀を抜いた。







「…伝達は任せましたよ、勇音。
 私はこれから、日番谷隊長と雛森副隊長、桐生副隊長、真田姉妹の
 救命措置に入ります」








虎鉄勇音は卯ノ花に言われた通り、天挺空羅で、現在の状況を伝達した。








「烈志副隊長と真田姉妹がやられた!?」
「梶五席、いかがいたしますか!?」
「オレは双極に向かう!お前たちは待機だ!」
「は!」











2012/09/05