「えー!?また朽木ルキアを見つけたんですかぁ!?」
「あぁ。普通に生活しておった」
「どうして連れ戻さないんですか!?」
「そこまで命じられておらんからな。他のことに手を出すと後々厄介なのだ」
「うー…隊長…」











紅蓮の愛







04 厄介事










現世から戻ってきた次の日、私はあの観音寺に書かせたサイン付きの書類を沢山ある書類の山の一つに乗せた。 そして一緒に執務室にいた葵・椿姉妹に朽木ルキアを見つけたということを話すと予想通りの反応をされた。 何故捕らえてこなかった、という反応。私は出来るだけ、他隊の仕事には関わりたくないのだ。









「あのぉ、隊長…」
「なんだ、椿」
「この書類…おかしいんです」
「へ?」
「だってここの日付が110年前になってるんですよ」
!?
「担当者が…浦原さんかな?今はそんな人いませんけど」










私は椿の手にある書類をひったくった。 書類の内容としてはよくある虚退治の内容。 だか、紙はすでに日焼けして茶色く変色し、文字もかすれてしまっている。 私は震える手を止め、椿に問いただした。









「この書類、どこにあったのだ?」
「え…この山の中ですけど。一枚だけ色が違うなぁと」
「この類の書類は確か中央閲覧室のものだ。勝手には持ち出せん」
「でもッ!この中に…」
「隊長、それは烈志副隊長が市丸隊長から委託された書類ですよ」
「市丸?」
「えぇ…烈志副隊長、最近市丸隊長に色々頼まれてますから」
「あやつめ、自分の隊長には何も報告なしか」









葵が書類の山を見ながら言った。
私はその書類を葵に手渡し、中央閲覧室の管理人に返してくるように言った。









「文句を言われるかもしれぬが、私の名を出せば良い。あの爺さんは古い友人だからな」
「分かりました。行って参ります」
「ん。頼んだぞ」








それから数日は平和が続いた。 いつものように葵と椿が喧嘩をし、烈志が怒鳴り、少々煩い。 そして青い空を鳥が飛び、白い雲が流れる。 そんなある日、郁斗が走って執務室に入って来た。 一日の業務が終わる、そんな時間であった。








た、隊長ッ!!
「何だ、郁斗。忙しいな…」
「六…六番隊の朽木隊長と阿散井副隊長が現世に…」
!?
「大罪人朽木ルキアを捕まえに行ったという情報が…」
「それは誰に命じられて行ったのだ?」
「四十六室です。技術開発局の者が昨日の現世メノス・グランデ出現の際に発見したと…」
「私らが焦ってどうこう出来る問題ではない。今日のところは様子を見て、明日にまた状況を探るとしよう」
「はっ!」
「御苦労であったな、郁斗…」
「いえ、廊下で偶然聞いたもので…」








その日は私は隊舎の鍵を閉めて、そのまま自室へ帰った。 もちろん寝れるわけもなく、ただただ天井を見つめていた。 最近良くないことが立て続けに起こっているからだ。 昔の書類が2枚も他の書類に紛れて入っていたり、 市丸に話しかけられたり、と精神的に参ることばかりである。








「私も弱くなってしまったものだ…」









その夜はは一睡もせずにずっと、天井を見つめていた。


















2011/09/21