隊長ぉ〜〜!」
「…なんだ、椿」
「隊長ってお誕生日、いつでしたっけ?」
「…4月10日…」
「じゃあ牡羊座ですね!」
「は?」
『自分に磨きをかけると成果があがる日!絶好調で仕事がどんどん進んじゃうかも!?』ですって!」
「なんだ、それは?」
「知らないんですかぁ?これ今、現世で流行ってる占いなんですよ!」











紅蓮の愛






03 星占い









「占いなど興味がない」
「そんなこと言わずにぃ!ほら、隊長、全体運5ですよ!」







そう言って仕事もせずにお茶菓子片手に現世任務のついでに買ってきたという雑誌を読む椿。 どこかの隊にこんな副隊長がいたような気がするが、まぁ、そこはほっておくとしよう。 私が現世で朽木ルキアを見つけ、そのままにして早1週間が過ぎようとしていた。 その間、別に大きな事件もなく、変化と言えば夏が近づくにつれて雨が多くなっているだけだった。 すると烈志が一枚の書類を持って執務室へと帰って来た。





「隊長…」
「おぉ、烈志。どうした?」
「あ、副隊長!!誕生日っていつでしたっけ?」
「…7月13日…」
蟹座のあなた!何をやっても最悪の日!上司の雷が落ちるかもだから気をつけて!ですって」
「…隊長、すいません。これ、行って来てください」
「…何々?現世一般人及び現世駐在任務中死神に対する自縛霊処理方法の連絡?」
「これ、特隊隊長の視察判がいるんですよ。お願いします」
「烈志…お前ってやつは……何故いつもこんな面倒な仕事を持ってくるのだ!!???
ヒィィィイィ!!す、すいません!!


「…この占い、当たるのねぇ」









が烈志を怒鳴る横で椿はもう一枚、せんべいをかじりながら雑誌に目を戻した。 烈志が持ってきた書類によると、最近、現世で自縛霊の発生が多発しているらしく、 死神もその存在に対して気にかけていないため、自縛霊が虚になりやすい現状があるらしい。 また最近、自縛霊を無理やり虚にする人間がいるらしく、その視察も兼ねてこの仕事がの所へまわって来たのだ。







「はぁ…また私の仕事を増やす輩がいるのか…」
「心労が絶えませんねぇ、隊長…」
「葵、代わりに行って…」
「それはちょっと…」
「はぁ…ま、行って来るとしようかのぉ…今晩は帰りが遅くなる故、葵、隊舎の戸締り、頼むぞ」
「はい、隊長。いってらっしゃい」








またあの義骸を使うことになるとは、とはまた溜息を付き、現世へと赴いた。 pm.8、はまたぶらぶらと空座町を歩いていた。 平隊員の見落とす自縛霊の匂いを探していたのだ。 すると、とある方向から虚に似た叫び声が聞こえてきた。 は急いでその場所に向かうと、多くの人間がいて、その奥には廃墟と化した病院が建っていた。








おぉ〜〜〜!!イキナリ出ました必殺の超スピリッツステッキ!!この段階で…』







そんな声が聞こえる中、自縛霊の叫びが苦しさを物語る。
は走り出し、人混みをかき分けた。一番前に出て見ると、一人の男が半虚の孔に杖を突きさしているではないか。








やめろォっ!!
「な!何だあいつ!?」
「警備!何してんの!!」
『な…何事でしょうか?どうやら興奮した男性が会場に飛び込み、警備員に取り押さえられた模様です…』







横を見ると一護がバッと前に出て来た。が、すぐさま取り押さえられていた。
はロープを握りしめ、前に出ようとしたその時、ルキアの声がした。









隊長殿!?
朽木ルキアか!?さっさとあの男を止めろ!」
「は!一護っ!!こっちへ来い!死神化するぞ!!」
「ルキア!!」
「おさえろ!!」
わーーーっ!!何してんだ さっさとふりほどいてこっち来いよ!!」
「わたけ!!貴様こそ振りほどけ!男だろう!!」






その間にも半虚の声は大きくなる。 はしびれを切らしたのか、自ら義魂丸を飲み、男を取り押さえようとした。 男を止めようとが口を開いたその時、聞き覚えのある声が聞こえた。







浦原……!!
「どうもw」
(浦原だと!?)






一護があの馬鹿男を止めに入ったのが見えた。 だが遅かったのか、半虚は消え、上で虚として再構成された。 は身体が動かなかった。 自分の思考の遅さゆえに動かなかったのか、それとも怒りで身体が震え、動かなかったのか、それは分からなかった。 だが、唯一分かったのは、浦原がこの現世・空座町に身をひそめていたことと、向こう側も私が今ここにいることを 理解しているだろうということだった。 は冷静に義骸に着て、一護が全てを終わらせるのを待った。 数十分後、その馬鹿男、もといドン・観音寺が病院の玄関に現れた。 隣には生気の抜けた一護がいる。歓声を受け、陽気に笑っている観音寺まで歩いていき、は仁王立ちでご立腹状態だった。







「おぉ!こんな美しい女性もミーのファンなのかい?」
…さん?」
「ユーの知り合いかい?いやはや、美しい…」
馬鹿者!!








の声が辺りの響き渡り、その場がシーンと静まり返った。 観音寺も訳が分からないのか、急にあたふたしはじめた。 しかしの怒りは収まらぬ様子で説教は続いた。








「貴様のお陰でせんでもよい仕事が増えた!この場に一護がおらんかったら貴様、命はなかったと思え!」
「な…何を…」
十分な知識も持ち合わせていない人間の分際で霊を扱うなと言うておるのだ!!
さん、もう俺が言ったから。こいつも分かってるって」
「一護…すまぬ。我ら護廷隊がせねばならんこと故、この始末、我らが責任を持つ」
「いやいや…これも俺の仕事だ」
「…頼もしいのぉ。だがな、この若造には一筆自署せねばならん書類が…」
「チッチッチッ!ミーが静かに聞いていると思えば…
 ミーはユーより人生の先輩!何故私が叱られねばならんのだね?」
「…」








私は目を見開いて、胸を張って言うドン・観音寺を見た。 すると周りから拍手が沸き起こる。 隣の一護は唖然として観音寺を見て、それから心配そうに私を見た。 私はパッと書類を出し、鼻で笑いながら観音寺の前に付き出した。







「…よいか?私はコンクリートというものが発明される前から生きておるのだ。
 その私が直接貴様を訪ねて来ておるのだぞ。さっさと自署を書け!私の手をこれ以上煩わせるな」








私は霊圧を上げながら観音寺に詰め寄った。 霊圧を感じることのできない人間も私の威圧感が分かったらしい。 拍手はすぐに止んだ。 観音寺はこれ以上、抵抗はしないというかのようにサッと自署欄にサインをした。 私はそのサインを見てから書類を一瞬のうちに消し去った。








「もうこんなお遊びをしてくれるなよ。次、貴様に会うようなことがあれば地獄の番人に付き出してやる」
「…す、すんませ…ん」







観音寺の弱々しい声がと一護の耳にだけ入ってきた。




















2011/09/20